幼児教育とグローバル基準の保育

幼児のファンタジーな世界と無限の可能性。小さな発見やフローの積み重ねからイノベーティブな未来を創る。有能感を持った自立した人間として、生涯を通して学び続ける資質を持って成長できるよう、今しかできない幼少期の土台作りを支援します。



異文化に触れる「ネパール」

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ネパール出身のゲストを迎え、ネパール文化に触れる機会を設けました。ネパールの言葉、ネパールの国民服、世界一高い山であるヒマラヤ山脈の「エベレスト山」、動物、お寺、伝統的な剣などをスクリーンで紹介してくれました。英語での説明ですが、ゲストの方の親しみやすい表情や優しい話し方に子ども達も緊張することなく打ち解けていました。秋に登山を控えている年長の子たちは「エベレスト山」に特に興味を示していたようです。


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あやつり人形は表と裏の顔が違い、お祭りの時に、男性のみがお面がつけて踊ると説明してくれました。トライアングルが二つ並んだような珍しい形の国旗は、子ども達(年長年中)も事前に描き、当日への期待を膨らませました。お話の中では「God」という言葉が何回も出てきました。ネパールの人達が大切にしているという雰囲気は子ども達にも伝わったようです。


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文化体験で子ども達にとって一番楽しみなのが食事です。恐らく大人も同じでしょう・笑。メニューはゲストの方が提案をしてくれたものを少し変えて給食にしました。今回のネパールカレーはインドのカレーとも少し違い、事前に栄養士の先生が試行錯誤しながら研究してくれました。ネパールカレーには今まで給食では使用したことのない、ターメリック、クミン、コリアンダー、カルダモン、グローブなどのスパイスを使っていますが、油が少なめであっさりとしています。(「油を少なくするのは、標高の高い場所に住む理由からで、油を摂り過ぎると心臓に悪いという伝統的な考え方があるから」と今回のために事前に伺ったネパール料理のレストランで聞きました)
デザートは「キール」というドライフルーツを入れた牛乳粥で現地では普段はお米を使うようですが、今回はカレーにご飯を合わせたため、このデザートにはタピオカを使いました。ドライフルーツは本来ナッツ類が一番合うようですが、ナッツ類はアナフィラキシーの心配もあるためレーズンにしました。サラダは「ひよこ豆サラダ(きゅうり、玉葱、人参、ツナ)」。
子ども達の反応は予想以上によく、好んで食べてくれるか心配していた栄養士の先生もびっくりするほど、「おかわり」「おかわり」の声が後へ続きました。

大きくなって「異なる文化を理解する」ためには“楽しい”という感情や“面白そう”という好奇心のベースが必要です。今回のような小さな体験の積み重ねがいつか役に立ってくれることと将来を楽しみにしています。




ファンタジーの世界

幼児が描く絵には太陽や月などの事物に目や口が描かれていたりすることがあります。おままごとをする時にはぬいぐるみに話しかけ、生きているように扱う姿もあります。これは「アニミズム」という事物や事象のすべてを生命あるものとして捉える幼児期特有の感性によるものであり、幼児は想像の世界と現実とをシンクロさせながら私たちよりも広い世界を探求します。
創造する力、思考を発展させる力、抽象的に考える力などは、ファンタジーの世界に十分に浸り、試行錯誤した体験から発芽し、成長します。多くの知識や技術を得ても手本どおり再現するだけではこれからの時代、学習やスポーツ或いは仕事においても成功を収めることはできないと言われております。余談ですが、私が職員面接で最も重視するのは、子どもとファンタジーな世界を共有できる人かどうかという一点です。理論や経験の不足は後から教えたり、補ったりできますが、この感性は教えることができないからです。

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在籍4年目となった時の“年長児”の作品。読み聞かせ「たんたの探検」の続きとして、自分でストーリーを創作しながら4枚の画用紙に絵で展開していきました。最初から4枚を想定したのではなく、生き生きと楽しそうに一枚ずつ積み重ねていったのが印象的でした。


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3年在籍した卒園児が“小学一年生”になった時の作品(上は女の子、下は男の子の作品)。上の絵は魚だけを図鑑で見ながら描いたもので、その周囲にあるものはすべてこの生徒の頭の中にある想像です。


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3年在籍した卒園児が“小学二年生”になった時の作品。何も見ないですべて頭の中にあるものだけで描いたものです。野菜や果物の種類ごとに一つ一つ葉の筋まで特徴を捉え、違うのが印象的です。


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在籍2年目となる“年少児”の作品。体験と体験のつながりを絵と言葉で表現するようになりました。(この時期を褒め過ぎず、あまり先走りさせず、大事に援助していくと、更に表現力が伸びていきます)


自分の心の中にあるファンタジーな回路は絵画や言葉の面だけでなく、運動でもその力を発揮します。先日、体操教室にも行っていない年長児が、自分の身長とほぼ同じ高さの鉄棒で「初めてできた!」と逆上がりを(それ自体は大して練習もしないで)成功させていました。この園児はいつも鉄棒をまるで自分の玩具のようにファンタジーの世界に引き込み、その世界で試行錯誤しながら夢中になって遊んでいます。遊んでいるうちに通常の練習方法とは違うやり方で、身長ほどの高さのある鉄棒で逆上がりに必要な身体の動きと部位の筋力を完璧にマスターしていました。いずれ改めて「ファンタジーの世界(運動編)」についても書かせていただきたいと思っています。

子どものもつ大きな可能性は、一人ひとりがもつファンタジーの世界を大切にし、援助してあげることでも広がっていきます。



夏の茶室

七夕の前日、朝から雨が降っていたため、園児たち(年長と年中)はレインコートを着て茶室へ向かいました。最初に出て来た和菓子は「うちわ」と「流れ星」にデザインされたもので、早速子ども達の心をときめかせました。
大人用の茶碗は七夕の笹が描かれたものと、夏らしいガラスのもので底もいつもより浅い碗が用意されていました。また、お茶を入れる“なつめ”もガラス製のもので中が見えるようになっており、蓋には天の川が描かれていました。
茶室の中は見るものすべてが涼しそうで、夏の季節感に溢れたものになっていました。季節ごとに雰囲気が全く違う茶室に、子ども達はいつも新鮮な気持ちで出かけ、お茶を飲むだけでなくその環境全体を楽しんでいます。今回は歌や読み聞かせで興味を膨らませた「七夕」について、茶室で更にそれを深めることができたようです。
茶室はいつも伝統や季節を生活の中に取り入れて楽しむ方法を感じさせてくれます。また、茶道の先生がお話してくれることも子ども達はよく覚えています。先日、「流しそうめん、いつやるの?」と聞いてきた園児に「8月7日」と伝えると、「それは、七夕の日だね!」と言われました。茶道に行った際に着物をきた先生が「明日の七夕は曇りの天気のようですが、“8月7日”も七夕ですのでその時の夜空に期待しましょう」と、しみじみ語ってくれたことが年長児には印象に残ったようです。
子ども達は様々な専門家と接することでその専門性や知識に触れるだけでなく、経験から語られる言葉にもファンタジーを感じ、自分の世界を広げます。夏の間の子ども達の成長が楽しみです。

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幼児のサイエンス 「スライム」

机の上に洗濯のり、ホウ砂水が入った沢山のカップが置かれ、全員がスモックを着ると、室内はまるで理科の実験室のような雰囲気に変わりました。子ども達が大好きな「スライムづくり」です。年長と年中の園児たちはそれぞれの液体が入ったカップを二つとスプーンを持ち、少しずつ粘度を確認しながら自分たちで調合をしました。「不思議~!」「すご~い!」という声が子どもたちから上がり、ヌルヌル、ベトベトとしながらも粘弾性の独特の感触のとりこになり、伸ばしてみたり、丸めてみたり、興奮気味に楽しんでいました。年少以下の園児たちも職員が材料を混ぜている間は、全員が口を閉じて真剣な眼差しで、液体が固体に変化していく様子を見つめていました。ホウ砂は毒性もある危険なものですが、子ども達は先生による事前のお話をきちんと聞き、活動中に危ないと感じる場面もありませんでした。今月は2回ほどスライムづくりのサイエンス活動を予定しており、次の回ではどのような気づきや発展を一人ひとりが見つけられるか楽しみです。理系離れが問題になっている昨今、幼い時期から科学を身近に感じ、親しんでもらいたいと思います。
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口の中の不思議

子ども達を見ていると、全員が将来理系にいくのでは?!と思うほど生物や科学に高い関心を示す姿があります。人間のからだの内側に対する興味もそのひとつであり、今年も歯科医をされている園児のお父様に虫歯予防月間である今月ご来園いただき、口の中の不思議について興味を広げる機会を持つことができました。
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年長と年中は前日「なぜ甘い物を食べると虫歯ができるのか」等、質問することを担任の先生と一緒にまとめ、期待を高めていました。当日、歯科医の先生からのお話に何回か出た「ハミガキをしても、食べる時よく噛まないと虫歯ができる」という、だ液についてのお話は特に子ども達の印象に残ったようでした。
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大きな歯型模型では、どのようにハミガキすると虫歯予防になるかを示してくれました。大きな園児、小さな園児ともによく観察し、「上の歯はどうするの?下の歯は?」等、興味津々の様子でした。
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モニターでは虫歯が作られる過程や進行するとどうなるか等、絵やイラストで分かりやすく説明をしてくれました。年少の子から「かわいいバイキンはどこにいるの?」という質問が出ると、先生から「かわいいバイキンはいません!」とお話があり(笑)、一層興味を深めていくことにもつながりました。最後には3Dで口の中から顎の骨、首の骨などのしくみもモニターで見せてくれ、多くの子が画面にかじり付くように見入っていました。口の中から脊髄へと動いていく画像に「もう一回最初から見せて」「今の部分もう一度!」などリクエストの声も上がっていました。
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翌日は年長と年中が振り返りの活動として、歯に関する本の読み聞かせの後、昨日歯医者さんから聞いたお話をもとに自分がどのように感じたか、何を発見したかを話し合いました。「どのようにハミガキすれば虫歯予防になるか」、年長の園児たちがその磨き方の手本を見せて盛り上がりました。
6歳ごろになると年長児の乳歯が抜けだし、そうするとまた園児たちの間で歯に対する興味が広がります。幼児期のこのような体験が「なぜ?」「どうして?」という関心を広げ、将来における興味の発展につながれば大変嬉しく思います。




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橋井健司。保育士・研修指導講師。新教育デザイニング株式会社 代表取締役。社会福祉法人の監事。

著書
「世界基準の幼稚園~6歳までにリーダーシップは磨かれる」
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