幼児教育とグローバル基準の保育

幼児のファンタジーな世界と無限の可能性。小さな発見やフローの積み重ねからイノベーティブな未来を創る。有能感を持った自立した人間として、生涯を通して学び続ける資質を持って成長できるよう、今しかできない幼少期の土台作りを支援します。



好きなこと、夢中になれること

“お友達が沢山いるか”、“お友達と上手くやれているか”、幼少期の日本の子ども達には先生も親も常に“お友達”が中心になって人と関わる力への関心が示されます。
一方、子ども同士の関係性を連続的に見ていると、まず“好きなこと、夢中になれること”を自分で持てることが健全な友達関係をつくる上で大切であり、その前提条件がないとたとえ言葉が早くても対人関係で苦労するという考察が得られます。好きなこと、夢中になれることに取り組んでいる姿には、人(友達)は自然と集まってきます。逆にそれがないと、友達づくりではただ人に合わせることとなり、友達が出来ても依存している関係では心の中は常に不安定ということになってしまいます。(「自分の好きなことが分からない」というのは大学生や大人にも多く、教育のあり方と密接に関わっていると感じます)
好きなこと、夢中になれることを自分で見つけられる習慣がある子は、自分はどこに行っても友達を作れる(集まってくる)という自信を持っています。本当の意味での協調性を育てるためにも、好きなこと、夢中になれることをしっかりと自分で見つけ、持てるという土台を毎日の保育環境から幼児期の期間を通して作っていきます。
これについて、最も気をつけるべき年齢は「年少」でしょう。一般的に幼稚園3年制が主流になってから、保育園も含めて年少は年長や年中と同じレールの上に存在すると捉えられがちです。また、この時期は言葉の数も飛躍的に伸びることから集団への意識を高めようと誘導されやすいですが、まだ発達段階的には様々な葛藤を経験したり、目的が明確ではない集中活動を繰り返し体験したりする生活習慣が必要な時期です。分かりやすく例えると、年少はキンダーガルテン・エイジではなく、ナーサリーエイジの最終活動期と言えます。一方、「年長」や「年中」には習い事など教育機会の過剰選択という注意も必要になります。
幼児期の初期には一人遊びに集中できる環境を十分に整え、後期には好きなこと、夢中になれることを自分で伸ばしていける環境を整えることが、多くの仲間にも恵まれる資質を持つことにつながります。長い学校生活も後半に入ると、その後の長い社会生活を含めて自分自身の本当の力が試されます。好きなこと、夢中になれることを自分で見つけ、自分で自分を伸ばす力が備わっているかが本当に問われるのはその時でしょう。


巣立ちの日

2~4歳で土台となる太い根を張り、5歳前後で地上に出た芽を急がず、焦らず大切に伸ばすと、6歳前後で花が咲き始めます。どんな花が咲くのか、何色に、いくつの花が咲くのか、私たちの予想を常に超えるものであり、今年も沢山の喜びを持って「修了の会(卒園式)」を迎えることができました。

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アトリエでアートの先生のもとで描いた年長児の卒園制作。園へのプレゼントとして絵は私も当日初めて見させてもらいました。「鷲を描きたい!」と1ヶ月前に自分でアートの先生に言い、先生が図鑑でモチーフを用意しました。描いた鷲は空高く悠々と飛ぼうとする力強い姿でした。アートの先生は「短い時間でスラスラと描き上げ、相当強い思いを持っていたのでは」と。単なる偶然かもしれませんが、巣立ちの日に向けて自分の姿を重ね合せたのではとも感じる絵です。

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♪にじ ♪キラキラなど、少し難しい歌をみんなで歌った後、年少や年中の園児から卒園する年長の園児へ感謝の気持ちを込めて手作りのプレゼントを、年長の園児から園のみんな、お母さん、先生へ手紙やプレゼントが渡されました。製作の活動時には単なる儀式にならないよう、「感謝の心を込める」ことを何よりも大切にし、先生と今までの体験や思い出を一つひとつ話し合いながら相手のことを考え、想い、進めて来ました。式の当日はいつもと違う環境から戸惑っていた子も前日までは役割をしっかりと認識し、自分なりの表現で心を尽くしていました。

担任の先生たちからは、子ども達へ成長したことを喜ぶ言葉と保護者の皆さんへこの園を選び、信頼してくれたことへのお礼の言葉が涙を一生懸命こらえながら伝えられました。つい1年前まではみんなの前に立てばモジモジしていた年長さんも、最近はみんなの前で演奏したり、発表することも自信を持ってできるようになり、この日も長い言葉をみんなの前に立って話したり、長い歌詞の歌(♪さようならぼくたちのようちえん等)を覚えて歌ったり立派な姿を見せてくれました。

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体操の先生が「どうしても私用があって参加できずすみません」とお花を届けてくれまた。カエルちゃんがついているのは、さすが幼稚園教諭の資格もある体操の先生です(笑)。その他、アートの先生も顔を出してくれたり、補助や給食の先生も「出勤日ではないのですが参加してもいいですか」と来てくれました。

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卒園する年長の保護者さんが共に成長を喜び合い、進級される皆さんのためにもとお祝いのお花を用意してくれました。パンダちゃんが子ども達の心をときめかせました。式の終了後には担任の先生が「“(卒園する子のお母様から)この園を選択してよかったです”と言われました」と感慨深く喜んでいました。

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最後に園児たちの今年度後期の成長を、スライドを見てもらいながら説明しました。先生たちに子ども達が成長した点を年齢別グループでかき出してもらい、それに近い写真を探し出しました。多くの保護者の皆さんが集まるのは年に数回しかないのであれもこれもお伝えしたいのですが、一方で子ども達もいる中なので限られた時間でどう簡潔に伝えるか週末に悩みながら選別しました。
手作りの「ブラウニー」と「かき餅」は当日用事で東京にいない栄養士の先生が前日の夕方に作ってくれました。かき餅は大寒の時期についたお餅を平たくのばして干し、3週間岡山県の太陽のエネルギーを浴びた滋養もある自然材料による和菓子です。ブラウニーは年長さんのリクエスト「チョコレートケーキ」を汲んだもの、ホイップとカラースプレーは担任の先生たちのアイデアです。
最後に見てもらった年長さんの小さい頃(年少々)の写真には皆さんから「うわ~、かわいい~!」という、たった数年前なのに今とは全然違う姿に驚きの歓声も上がりました。


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年長さんから頂いた手紙。登山は100m→300m→600mと段階的に3回したのですが、どうやら100mの山が一番楽しかった思い出として残っているようです(笑)。簡単に登れてしまうので当初計画から削ろうと思いましたが、削らずによかったと思っています。子どもが何に喜びを感じ、何が明日への活力になるかは大人の予想とは案外違うことも多いものです。


「先生」はいずれ別れが来ることを知っているから毎日の一瞬一瞬を子どもと全力で頑張れるのかもしれません。「親」はそれが無限に続きます。「親」の苦労や心配と「先生」のそれとは比較することができませんが、互いに理解し合う努力をすることでより良い子どもの育ちにつながることと確信しています。
進級、進学にはまだあと2週間、更に大きくなる子ども達との一日一日が楽しみです。


伝統文化に親しむ「ひなまつり」

毎年、ひなまつりの日は子ども達がゆかた(甚平)を着て一日を楽しみます。朝から特に女の子たちは嬉しそうに模様や柄の話などをしながらお友達同士で見せ合ったり、お友達の保護者に見せたり、楽しそうでした。

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担任の先生が自分のひな人形を持参してくれました。ひなまつりの由来や「菱餅」、「桃の花」の意味なども子ども達に伝え、特に年長や年中とは対話をしながらお話を展開していきました。花瓶とお花はベテランの先生が用意して飾ってくれました。

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日本舞踊の師範でいらっしゃる水木歌蓮先生をお招きしました。子ども達がひなまつりの歌を唄う前で扇子を振りながら踊ってくれました。子ども達は静かに真剣な眼差しで鑑賞し、年長の子からは「もう一回観たいな~!」という声も自然に上がってきました。踊りの後は扇子を使っての見立てクイズを、今回先生が考えてきてくれました。「波」「桜」「傘」「太鼓」「笛」「化粧」などどれも日本の文化と関係があるものばかりですが、子ども達はお伽話の世界に入るようにとても楽しんでいました。

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日本舞踊の「立ち方」「座り方」「歩き方」もみんなで習って体験しました。予想以上に興味を示して楽しむ子が多く、みんなの前で行ってくれた4名はタオルを頭の上に乗せ、落ちないように挑戦しながら「立つ」「座る」をしました。「回を重ねるごとに上手になっていて、感心しました!」と先生の手記には書いてありました。

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給食は人参と絹さやでお花の形に飾った「ちらし寿司」と「白玉だんごのすまし汁」に和え物と付け野菜。みんなから「わ~すごい!」と大きな歓声が上がりました。おやつは栄養士の先生に道明寺粉と桜の葉を手配してもらった「桜もち」。幼児にも親しみやすい味に多くの子がおかわりをしていました。

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上段が年少と年少々が作った「ひな人形」、下段が年長と年中が作った「ひな人形」です。みんなで楽しい一日を過ごしました。



「体操」をする理由

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先週、体操の成果公開日を設けました。“成果公開”と言っても何か特別なことが出来た姿を披露するのではなく、日常行っている基本運動の目的や一人ひとりの成長を講師が保護者の皆さんにお伝えする機会と位置付けております。講師の先生にも説明の大切さをご理解いただき、保護者の皆さん一人ひとりに快く向かい合ってくれました。
私の園では外遊びを重視し、時間も長く取っている方ですが、それでも専門の先生が導く「体操」の時間は必須と感じています。手足の協応性や目の動きが運動能力に与える影響は大きなものであり、器用か不器用かではなく基礎をしっかりと援助すればどの子でもかなり上達します。運動が得意に見える子でもそれらが意外に整っていなかったり、逆に苦手に見える子でもその基本さえ押さえれば意欲も能力も格段に上がったりする姿を毎年見て来ると、幼児期には基礎的な身体能力を身に付けることこそ外見的な成果よりも重要だと感じます。また、幼児期における身体能力の発達は言語感覚や認知能力などの知育、豊かな情動や他人の感情に気づけるような身体感受性とも密接に関わっています。


体操以外の部分で嬉しかったのは、保護者の皆さんが来る前、体操の先生が来ると子ども達がいつものように裸足になって自ら脱いだ靴を揃え、自分たちで横一列に並び出したことです。子ども達は楽しいことが待っていると思えば自分たちで秩序を守ろうとします。
成果公開の様子は、見学をされた保護者の皆さんから事後にいただいたご感想のアンケートより抜粋して紹介したいと思います。講師や職員だけで共有するのは勿体なく、子育てをされている多くの親御さんに役立つご意見と思い掲載するまでです。(個人的な部分は省略をしています)


「皆さん、とても楽しそうに運動している姿を観て、体操の時間が好きなんだなと感じました。普段の外遊びでは出来ない運動ですし、手・足の力やバランス、腹筋など鍛えられる動きが入っていてよかったと思います。跳び箱の前に行った、かえるのような動きは大人でも難しい感じがしましたが、皆さん、手の位置、足の位置、手・足を順番にリズムよく動かしている姿を観て、頭で考えて体を動かすことが出来るんだな、と感心しました。」


「皆の楽しそうで『がんばろう!』という顔や、もう赤ちゃんではないんだなぁと感心するような能力にびっくりしました。」

「比較的短い時間にも関わらず、実に多様な体操の練習を見せて下さり、有難うございました。○○先生の丁寧な解説で一つ一つの動きにどんな意味があるのか理解でき、大変有意義でした。我が子のみならず他の園児さんにも温かい拍手を送ることのできる他の保護者様の姿にも感慨深いものがありました。」


「たくさん子ども達の良い表情を見ることができて、とても良い時間でした。楽しみながら体を動かしている様子を見て、子どもが家でもピョンピョン跳ねたり、飛んでみたりしている理由がわかった気がしました。」


特に嬉しかったのは、保護者の皆さんが自分のお子さんだけでなく、互いにお友達の成長をも笑顔で喜ぶ合う姿でした。とても印象的で、心を打たれました。



中国文化に親しむ 春節

近所づきあいとは本来好き嫌いでどうするか考えるものではなく、互いに持ちつ持たれつでどう気持ちよく過ごすかということだと思います。ならば、お互いに好きな部分をひとつでも多く感じた方がお互いのために良い・・・そんな思いもあって中国文化に触れることには他の国とはまた違う意味がある中、お父様が「中国」出身という園児がいることを後で知り、昨年の春ぐらいからどのタイミングで文化体験遊びの機会をお願いしようかと最適な機会を考えていました。

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「春節」という特別なお祝いの時期に合わせてお願いしたところ、上海から祖父母さんも来日してくれました。中国語しか話さないにも関わらず、笑顔と愛情ある接し方で子ども達は親近感を抱き、一緒にとても楽しい時間を過ごさせてもらいました。
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スクリーンではお父様とお母様が、中国の場所と大きさ、日本との距離、パンダや虎、春節のお祝い風景、屋外で食べる中国の朝食習慣、象形文字から漢字への変化等を写真や絵で紹介してくれ、子ども達からは「おー!」という歓声が何回も上がりました。

“自分の名前は中国ではどんなふうに呼ばれるか”を楽しんでもらうために、事前に園児一人ひとりの名前カードに中国語読みを振ってもらい、当日は一人ずつ名前を中国語で呼びながら渡しました。担任が提案したもので昨年のチュニジアの体験では一人ひとりの名前をアラビア語で書いてもらいました。
子ども達が好きなミッキーマウスやウルトラマン、キティちゃん、ドラえもんは“中国語では何と呼ぶか”も年長は特に関心を示していました。

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文化体験の機会には「食」を通じた体験を特に重視しています。五感を通じた体験は幼児の心や体にもしっかりと残り、いつまでも覚えています。今回は何としても“分厚い皮の主食としてのワンタン”を実現させたいと思い、市販されているものでは見つからなかったため休みの日にあたる栄養士先生にお願いして早朝から皮を手作りで用意する準備をしてもらいました。
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皮と具は餃子と同じにも関わらず、折り紙のように皮を美しい形で折る「上海ワンタン」には子どもたちだけでなく、先生たちもみんなが感動していました。祖父母さんが子ども達に得意げにその包み方(折り方)を教えてくれ、年長や年中さんは形をきれいに整えようと、年少や年少々さんも粘土のように握ったり、餃子のように作ったり、みんな本当に楽しそうでした。
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子ども達が作った主食としてもちもちの厚い皮に包まれたワンタン、春雨ときゅうり、トマト、わかめのサラダ、北海道のこしあんを入れた白玉粉と絹豆腐のごま団子をお昼にみんなで食べました。沢山の量にも関わらず子ども達はおかわりが進み、中国から来日しているご家族も「ハオツィ!」と何度も言ってくれました。

伝承遊び「老鷹捕小鳥(鷹が小鳥を狙う)」は男の子達を中心に盛り上がり、「もう一回やりたい!」というアンコールが何回も上がりました。お父さんやお爺ちゃんがタカの役をしながら、子ども達が先生の後ろで縦一列に小鳥役になって逃げると言うファンタジーのある遊びでした。

人間の温もりや営みを感じる状態で様々な国の文化に触れ、子ども達がやがて高校生や大学生になって自分で将来への夢を開いていく時、「小さい時の体験が役立ったかもしれない」と言われれば何にも代えがたい喜びです。ホスト側の子どもも大いに自信になったことと思います。自分が大人になった時に同じようなことをきっとしてくれるのではとそれも楽しみにしています。お世話になったご家族に心から感謝をしております。




author

橋井健司。保育士・研修指導講師。新教育デザイニング株式会社 代表取締役。社会福祉法人の監事。

著書
「世界基準の幼稚園~6歳までにリーダーシップは磨かれる」
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