幼児教育とグローバル基準の保育

幼児のファンタジーな世界と無限の可能性。小さな発見やフローの積み重ねからイノベーティブな未来を創る。有能感を持った自立した人間として、生涯を通して学び続ける資質を持って成長できるよう、今しかできない幼少期の土台作りを支援します。



伝統文化に親しむ 「茶室での茶道」

いつもお世話になっている茶室の入口にはお正月柄の扇子が飾られていました。室内に入ると子ども達は様々な飾り物に目を遣り、「きれい~」と言う言葉が自然と多くの子から聞こえました。
「あけましておめでとうございます」と元気よく挨拶をすると、お茶の前にいただくお菓子として『花びら餅』が出されました。お正月だけに出される、ごぼうが入ったこの桃色の和菓子は子ども達に印象深いようで卒園した子たちからもそのお菓子が美味しかったという話を聞きます。その花びら餅がのったお皿は「羽子板」の形をしており、そこにも子ども達がお正月を実感するものがありました。
先生が鉄釜の前でお茶を入れる様子もじっと見ている子が多く、何回か来たことがある子たちは作法や意味にも興味を示し、自分から質問をしていました。先生の着物の柄は『雪の結晶』、ふくさには今年の干支である『羊』の絵、水差しの陶器には『七福神』、蓋は『打ち出の小槌』、室内の飾りにも『鶴』や『獅子舞』など、先生がひとつひとつ丁寧に説明してくださり、子ども達は興味津々で感動を言葉で表現する場面もありました。
茶室は季節感や文化を楽しく学べる“学びの宝庫”でもあるといつも感じます。子ども達からの気づきも沢山あり、柄杓(ひしゃく)の置物の三方(さんぽう)は「あっ、鏡餅がのっているものと同じだ」という声が出たり、先生が七福神のお話で「一人だけ女の神様がいるの分かる?」と言うと「見つけた!」と注目する等、大きな子たちは主体的な姿勢でやりとりを楽しんでいました。
茶道でもう一つ興味深いのは、例え引率した援助の先生であってもいつでも大人が優先であり、良い場所、良い茶器を提供され、順番も子どもより先であることです。私たちとしては立場上少し気後れしてしまうのですが、茶道の先生はそこは譲らず、まず私たちに丁寧な対応をし、その間子ども達はそれを見ながら待っています。日頃の園生活や活動で先生が子どもより優先で先生のために子どもを待たせることはないので新鮮でもあり、また、そのような機会も偶には子ども達にとってよいものと感じます。
抹茶は大人と同じ味でやや薄くしただけにも関わらず、みんなが「美味しい」と飲み干していました。茶筅でお茶を点てる時も力をうまく抜きながらまわすことができました。帰りには子ども達から笑顔で「ありがとうございました!」「また来たい!」という声が元気よく上がり、貴重な学びの機会に大変有難く思っています。年少の子たちは様々なことを感覚でとらえ、年中や年長の子たちはそれに意味づけや新たな気づきへと発展させる等、自ら学びを深めようとする場面が多く見られました。


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サイエンス「磁石」

大学生への指導経験もある専門性を生かし、保護者のお父様が幼児向けの「科学遊び」を企画してくれました。
今回は「磁石」を使っての遊び。
NとSの不思議な関係。くっつくものとくっつかないものがある不思議。ホワイトボードに書かれた「てつ」という不思議な存在。子ども達は興味津々でお話を聞いた後、磁石を手にしながら缶やビー玉、クリップ、プラスチック等に次々と近づけ、更に興味を広げていきました。
最も子ども達が興味深そうに扱っていたのは「砂なのに・・・不思議!」と試験管に入った砂鉄を磁石で動かしている時でした。最後は一人ひとつずつ磁石を握って部屋の中を探検。さて、くっつくものはあるか。どんなものがくっつくか。椅子や道具箱、棚、壁などみんな生き生きした表情で探していました。
多くの子が磁石のもつ不思議な性質の虜になり、終了後も講師を囲み、離れませんでした。ご多忙の中大変素晴らしい企画を提示して下さった講師お父様に心から感謝をしています。サイエンスと日常が交差するような幼少期の体験はとても貴重なものであり、今回の経験を私たちもどのような援助につなげていけるかを考え、子ども達がそれを発展させていく姿を楽しみにしています。

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クリスマス・コンサート

園児と保護者の皆さんをクラシック専門の音楽ホールに招き、ヴァイオリンとピアノ演奏によるクリスマスコンサートを開きました。茶道の先生や区議の友人も参加してくれて空間全体がいつもとは違う雰囲気になりましたが、次第に子ども達は慣れ、いつもの笑顔になっていきました。鑑賞マナーでは演奏する先生から「音楽を感じて子供らしく体が自然に動いたり、立ち上がったり、口ずさんだりするのは構いません」と伝えられ、子ども達がその発達段階に合わせて自然と音楽を楽しめるようにしました。

<ヴァイオリン演奏> 信田恭子先生
    ボッケリーニ:メヌエット
    モンティ:チャールダーシュ
    ジングルベル

<ピアノ演奏> 小林洋先生(ピアノ教室 ぴあちゃ成城・調布)
    ショパン:子犬のワルツ
    赤鼻のトナカイ~きよしこの夜~赤鼻のトナカイのメドレー 

美しいヴァイオリンの音色が奏でると室内の雰囲気は一変し、演奏の中の世界に入っていくようにうっとりした目をしている子、足を振ってリズムをとっている子や腕を上げてヴァイオリンを弾いている真似をしている子もいました。3曲目の「ジングルベル」が流れるとクリスマスの雰囲気が一気に盛り上がり、子ども達の気分もウキウキとのってきました。
次のピアノの演奏鑑賞は「ピアノの先生がいない!どこ?みんなで呼んでみよう!」という設定から始まり、サンタクロース姿で現れたピアノの先生がプレゼントを子ども達に渡してくれました。ひげを生やしたサンタクロースがそのまま優雅にショパンを弾く姿に子ども達は自然とピアノの周りに集まり、ムードも高まりました。
最後はお礼として子ども達が「やったーサンタがやって来る」を前に出て歌ってくれました。このための練習は一度も行いませんでしたが、みんな大きな声で歌いながら身振り手振りを大きくつけて表現し、生き生きとした姿を見せてくれました。子どもらしく音楽を楽しもうとする自然な姿、毎年の通り本番に強く堂々と自己表現できる園児たちの姿には大変感動もしました。子ども達が家族と一緒にクラシック音楽に親しみを感じてくれれば嬉しく思います。きっと本物のサンタクロースがクリスマスの日にはみんなのお家に来てくれることと思います。

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カルラ・ホール(東京都世田谷区経堂)



異年齢教育環境という“グルーヴ”

異年齢合同で過ごすことのメリットのひとつに自分と向かい合うことができ、自分自身で課題調節がしやすくなる(メタ認知)という効果があります。子どもには習熟度や興味において必ず個人差やタイムラグがあり、同年齢集団だけでいると他人より遅いものがそれを意識してやがて苦手意識が芽生えてきて興味を失ったり、意欲を低下させたりする様子が見られます。一方、日常的に異年齢で過ごしているとそれが目立たないせいか他人と同じようにいかなくても自分なりに自分のペースで向上させ、意欲が下がらず、結果的にどの分野も苦手意識を持たないという様子が見られます。自分を肯定できるグルーヴ(溝)を子ども自身が異年齢という集団の中で見つけています。このあたりは保育方針による影響も大きなものですが、一方で本能的に“人より勝りたい”という気持ちは子どもでも誰にでも共通するものですのでそこを如何に上手く集団としてモチベーションが下がらないようにしていくかはクラスマネージメントの大事な点だと思います。

子どもには無限の可能性があると日々感じていますが、それは子ども自身が内発的に意欲を発揮できる環境があって初めて成されるものと感じます。異年齢環境には下の子が上の子から学ぶという単純な図式だけでなく、互いに補完し合いいつでも意欲が高く、挑戦的でいられるということも大きなものとして存在しています。
時々「異年齢環境のデメリットは?」と聞かれますが、それは運営面で発達段階をよく理解している教諭や保育士が配置されなければならないこと、全体を見られる人が必要なこと、及びある程度少人数環境でなければならないことと答えています。現在、一般的に異年齢と言えば社会性の向上を目的に行事の際の交流が主流ですが、これから何年後、何十年後かには授業などアクティビティの成果向上においても徐々に浸透していくことと思っています。



アート作品展

子ども達の光る個性と独創性が保護者の皆さんに見られる機会としてアート作品展を開催しました。子ども達には協働する本当の喜びも感じてもらいたいと思い、特に年長や年中は数週間かけての共同制作も実施しています。共同制作の喜びとは、みんなが少しずつ遠慮や我慢をして成し遂げるものではなく、一人ひとりが自分なりの表現を持ち合い、互いのアイデアに共感し合いながら集合体となることによって一人では生み出せない大きな価値を創ることにあります。自分なりの表現を発揮しながら共通の喜びや感動を得られるか、子ども達も、先生も一緒に試行錯誤しながらプロセスを大切にした活動を続けて参りました。
個人の作品では年長や年中はスパッタリングやステンシル、フロッタージュなど様々な表現技法を体験したものも展示しました。年長は釘と金槌を使っての木工作品も展示し、いずれも何を作りたいか、どんな表現をしたいか、子ども達の意思を大切にしながら担任や講師の先生たちが援助してきました。共同制作では立体で子ども達の身長より高い大きな人形を3週間かけて完成させました。制作の過程では話し合いによって新たな趣向や材料も加わり、創造活動では常に新しいアイデアが必要ということもよい経験になったことと思います。年少と年少々も紙粘土に自然素材や布、ボタンを組み合わせた立体の人形やデカルコマニーなどの絵画など、それぞれが自分なりの表現をすることを大切に、活動を楽しく重ねてきました。
保護者の皆さんには日頃から大切にしているプロセスも感じてもらえるよう、担任の先生たちが活動時における子ども達の努力の過程やその写真を作品と共にメイキングのような形で表現して展示しました。
作品づくりの過程では、先生たちは「ママにいいもの見せようね」等、外発的な動機づけで働きかける言葉は使わず、内発性だけを重視して子ども達に主体的な意欲が湧くよう導入のしかたや集中できる環境づくりなどで一人ひとり工夫をして援助をしてきました。
当日は多くの子がママやパパに共感してもらうことでとても嬉しそうな表情をしており、年長や年中の園児は自分の作品のストーリーを意欲的に説明している姿が目立ちました。午後にはアートの先生が来園し、年長さんが自主的に説明役を果たす中で年下の子たちも先生を取り囲んで自分の作品を嬉しそうに紹介していました。
保護者の皆さんも熱心に作品のひとつひとつを観て下さり、「みんな個性的」「想像力が凄い」「年長になるとあんなに出来るんですか」等、嬉しい言葉をたくさん頂戴しました。異年齢のクラスルームならではの年齢が上がるごとに表現力やその幅が発展的に広がっていく様子も伝わったようであれば嬉しく思います。

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author

橋井健司。保育士・研修指導講師。新教育デザイニング株式会社 代表取締役。社会福祉法人の監事。

著書
「世界基準の幼稚園~6歳までにリーダーシップは磨かれる」
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