幼児教育とグローバル基準の保育

幼児のファンタジーな世界と無限の可能性。小さな発見やフローの積み重ねからイノベーティブな未来を創る。有能感を持った自立した人間として、生涯を通して学び続ける資質を持って成長できるよう、今しかできない幼少期の土台作りを支援します。



リトミックを “神社”で

爽やかな秋晴れの天気のもと、屋外に出て神社でリトミックをしました。どんぐりがいっぱいの地面を見て、先生が大きなピアニカで♪どんぐりころころ~と弾き始めると子ども達も歌いながらいつもよりどんぐりを興味深そうに触って眺めながら集め始めました。
子ども達は少し飽き始めると走り出します。そこで今度は先生が速いリズムで演奏を始めて子ども達がそのリズムに乗って走り、途中で演奏を遅いリズムに変えると子ども達は絵本の中のおじいちゃんやおばあちゃんを模倣し出し、足の裏に土の感触を感じながらゆっくりと歩き始めました。
カラフルなフープやカードは、音楽と共に木や土の香りがする空気の中を舞い、子ども達は顔に木漏れ日が当たってご機嫌そうです。ある子が丸いカードを両耳の上に当てて「ミッキー!」というと、先生のピアニカは♪ミッキーマウスのマーチを演奏し始め、子ども達は自分たちの世界へと更に入っていきました。最後はリズムスティックを両手に持って♪森の音楽家で木の切り株や幹を叩き、自然の中にもいろいろな音が存在することを確かめました。
葉の緑と秋の空気、太陽の恵みと土の香りの中で先生が子ども達を導き、同時に子ども達が先生を導き、自然と音楽の調和によって癒されるような時間でした。

一昨日は自然のままの広場で、昨日は畑で、今日は神社で3日間土の香りや感触を楽しみ、土は子ども達にとって大変貴重な資源と感じながら地域社会に感謝をしています。多くの公園や園庭、校庭の子ども達が遊べる場所には「土」はありません。抗菌されたサラサラの砂は、衛生上はよいかもしれませんが手指の運動となる“おだんご”も作れず、また、草が生えない虫もいないような屋外遊びでは「共生」という概念も感じることができません。また、転べば下の地面は土より堅いため怪我も増え、安全面でも決して高いとは言えないと思います。子どもの成長や教育にとって大切なものとは何か、地域でも出来ることはあり、地域全体で一緒に考えていくことが大切だと思います。

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お芋堀りとバターづくり

「ヘリコプターでお芋を持って帰ってきてね!」と前日に読み聞かせをしたお芋堀が出てくる絵本のストーリーを覚えていた年少の子たちが、朝、お芋堀に出かける年長と年中の子たちに声をかけていました。農園では子ども達は園主さんと会話をしながら、「よし、掘るぞ~!」と軍手をはめた手で土をかき出すように勢いよく掘り始めました。お芋を取り上げて満面の笑みを浮かべなら「幼虫がいた!」と土の中の生き物に触れたり、農園主さんからは「これはねずみが食べ残したお芋」「これはカラスがつっついたもの」と実物を見せながら説明してくれたり、子ども達は興味津々に沢山のことを学びました。お芋堀が終わると、大きなシャベルで土の中に穴を開け、その中に入って遊んでいました。手入れが行き届いたきれいな土で園主さんは裸足で遊んでもらっても全く危なくないと言っていました。帰り道は「大丈夫、自分でもつ!」と沢山のお芋をリュックに入れ、背中にはかなりの重さを感じるにも関わらず元気に30分歩いて戻りました。

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園では持参されるさつま芋につける「バター」を栄養士先生の指導のもと、みんなで作る準備をしていました。生乳をペットボトルに入れてシャカシャカと振り、乳清とバターを分離させる作業をみんなで楽しんで盛り上がりました。冷蔵庫に入れて完成させる前に一人一口ずつ舐めると表情が輝くと同時に「おいしい!」という声が広がりました。その後で年長と年中はお芋を前に置きながらクレパス絵画をし、終わるとお芋をたらいの中で洗って調理室に届けました。

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みんなで作った「バター」。脂肪分45%の生乳からつくっていますが、全く脂っぽさを感じないヘルシーな味加減です。

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小松菜、ブロッコリー、キャベツなどは畑にはありませんでしたが、同じ農園で採れたものを販売コーナーより買ってきました。年長さんの絵には畑に生えていた時の姿が想像で再現されました。
 

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アート 『実りの秋』を表現する

専門の先生の活動後記をそのまま掲載します。

「導入の段階で『りんご・かき・洋ナシ・黒豆(黒さや)・かぼちゃ・ぶどう・からすうり・ざくろ』など、今、旬でおいしい物を取り上げ、子ども達と会話しながら部屋の真ん中に並べてみる。お天気にも恵まれ、心地よい季節感も子ども達に手伝ったよう。どの子も楽しそうに描いていた。朝、元気のなかった子も、今まで早く終わらせていた子どもも、体験で参加した子も落ち着いて、集中していました。
ファーストクラスルームそのものが充実期をむかえているよう体感しました。どの子も大きな声でお話し、絵にも積極性が見られました。」


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登山 パート2 『飯山白山・桜山』

「写真撮って!」と普段撮影にあまり興味を示さない年長の子が、山頂に着くと紅潮した表情でポーズをとり、自分から言ってきました。

年長の活動として2回目の登山にて東丹沢まで行きました。雨で2回延期したので待ちに待った日です。保護者さんに相談してトレッキングシューズも用意してもらいました。シューズの効果は安全対策として絶大で、地面から全く足元が滑らず安心して登山に集中できました。
1回目の5月の時は100mの枡形山、10月の今回は300mの飯山白山・桜山で、200m高いので途中「疲れた~」「歩きたくない~」という言葉が子どもから出ることも十分に想定していましたが、一度もなく、勇ましく登っていく姿に春からの大きな成長を感じました。特に途中少し休んだだけで(楽しみにしていたお菓子タイムで)、体力を一気に回復して再び勢いよく登り始める姿は驚きにも値するものでした。お弁当やレインコート、着替えなどでそれなりに重いリュックも最後まで自分で背負って登りました。
頂上に着くと雄大な景色を見下ろし、自分たちがバスで通ってきた道路が遥か遠くに見えることが分かりました。その達成感に満ちた歓喜の表情は今までに見たことがないほどの輝かしいものでした。自分の足で300mを登り歩いて見下ろす景色は、飛行機やロープウェーから見下ろす景色とは見え方が全く違ったことと思います。
自然散策も楽しいものでした。珍しい木の実を採集しながら昆虫を見たり、少し不気味な野生のねずみの死骸に出会ってしまったり、非日常的な体験ができました。また、頂上で出会った高齢者の方々からお菓子をもらって会話する等、登山ならではの人間交流もありました。下山する際には神社やお寺があり、園児からは「次の高尾山も晴れますように!」と言う声が聞こえ、早くも次のことを考えている様子も頼もしいものでした。
翌日は、参加した年長の子が年下の園児たちの前で登山の体験のお話をしてくれました。年下の子たちはいつも通り興味津々で静かにお話を聞き、将来の自分の姿を想像しているような顔をしていました。最後となる次の3回目は「高尾山(500m)」を選びました。最初から高尾山でも登れるコースはあるのですが、100m→300m→500mと積み重ねる達成感を体験してもらいたいと思い、最後にしました。今回の様子から、紅葉がきれいな最難関のコースで登ってみようと計画しています。


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◎この記事を読んで「飯山白山・桜山」に子どもと登ってみようとされる方
今回のコース:バス停「尼寺」→扇の広場→桜山→白山神社→白山→「男坂」→長谷寺・飯山観音→バス停「飯山観音前」
バス停を降りるとコンビニ、売店などはなく、飲み物も購入できる場所はありません。トイレ、水道は下山するまで1ヶ所のみで頂上にもありません。(頂上でゆっくりし過ぎると特に大人の方(女性)はご注意下さい) 「女坂」コースは傾斜は緩やかですが、崖沿いが多く、道が細く滑りやすい箇所がいくつかあります。
ガイドには「初心者・ファミリー向け」として案内されており、ハイキングクラスの低い山ですが安全柵などはなく、コースも特に子ども向けに配慮はされておりませんのでお子様と一緒に登る際は下見をされてからをお勧めします。



巧緻性と表現力

2学期に入ると1学期は折り紙に興味を示さなかった子が、興味を示して意欲的に参加するようになったり、より複雑なものを折ったり、そして絵画と組み合わせた時の表現力も幅が広がっている姿が目立ちます。

巧緻性も表現力も反復練習だけではそれほど伸びません。例えば、折り紙で“どんぐりを折ってみたい”という意欲の背景には、外遊びで秋の自然に触れる機会が充実したり、季節の歌を楽しい雰囲気の中で歌ったり、身体で表現していることが関係しています。自分で折った作品を画用紙に貼ってクレパスで絵を描く時には、季節の歌を唄いながらや自分で考えた物語をぶつぶつ言いながらの姿があり、描き始めた時点から素晴らしい作品が出来上がる雰囲気があります。傍で見ていてもとても気持ちがいいものです。
最近では特徴を出すためにひとつの分野に力を入れたり、反復練習ばかりを優先したりする園もありますが、幼児教育で大切なことは幅広い体験活動から自発的に積み重ねていけるものの中にあります。
また、活動時に力を発揮できるかどうかは“自由時間のあり方”にもあります。1学期と2学期では子ども達の関心も変化しており、遊びに関する環境設定や援助のあり方も変える必要があります。日本の大人数教育環境で育つと自由時間は発散する時間と思いがちですが、子どもは本質的に遊びと勉強の境界線はなく、自由時間に提示活動以上の成果を上げてしまうことは日頃から頻繁にあります。世界の少人数教育と比べて大きな差がついてしまうのが、生活を含めた自由な時間や空間での援助のあり方にあることと思います。一年中、活動と言えば行事の練習ばかりしていて自由時間は発散の時間と考えているような日本とは、幼児の段階でかなりの差がつきます。

今月から、秋の過ごしやすい時期を捉えて朝早くから公園へ行く日には、先生たちが公園で朝のお話をし、みんなで季節の歌を唄っています。ピアノがなくても、椅子で整列させなくても、子ども達は意欲的に参加しています。

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橋井健司。保育士・研修指導講師。新教育デザイニング株式会社 代表取締役。社会福祉法人の監事。

著書
「世界基準の幼稚園~6歳までにリーダーシップは磨かれる」
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