幼児教育とグローバル基準の保育

幼児のファンタジーな世界と無限の可能性。小さな発見やフローの積み重ねからイノベーティブな未来を創る。有能感を持った自立した人間として、生涯を通して学び続ける資質を持って成長できるよう、今しかできない幼少期の土台作りを支援します。



「外遊び」と課題発見力②

園児の皆さんが3月に卒園をする時、アトリエで先生の指導のもと「楽しかった思い出」の絵を描いていますが、毎年何人かの子は伸び伸びと外遊びを楽しんだ様子を描いてくれて嬉しくます。また、今年の入園式では年長の子が一年間で楽しかった思い出として外遊びでのお友達との様子を絵にして発表してくれました。定期的に他園から来る子の中には広い公園で遊べることを楽しみに来てくれる子もいます。
これまで長い時間外遊びができる職員配置や年間の活動運営に工夫を重ねて参りましたが、今では職員たち自身が子ども達を屋外で伸び伸びと遊ばせた方が知育や表現活動でも飛躍すると実感してくれています。毎日天候によって自主的にスケジュールを組み替える等、臨機応変な対応をしてくれることにも大変感謝しています。また、いつも一番最初に公園に着いたり、一番最後までいられたりできるのも、登園時間への協力や行事練習に余計な時間を費やさないことへの理解など保護者の皆さんによる協力も大きく、カリキュラムの充実はみんなの力でそれを達成できていると感じています。結果として一年中様々な体験活動や知育活動がありながらも、外遊びがたっぷりと出来る習慣と体制が出来上がりました。
人間とは不思議なもので便利なものが目の前にあると大して有効に使わず、それがないと何としても得たいと努力するものと感じます。もし小さな園庭が目の前にあったらこのようなことにもならなかったのではと感じます。

外遊びは子どもにとって創造性や人間関係など様々なことを試行錯誤しながら学ぶ実験場であり、滑り台も上から下へ降りるだけのものではなく、下から上へ登る子もいることでどんな場合にはどちら側が優先か等、最初は援助されながらも自分たちの身体感覚で分かるうようになってきます。このような感覚がコミュニケーション能力の基礎ともなります。小学生になって簡単に友達とぶつかったり、意見の違いを乗り越えられなかったりするのは、幼児期にこのような経験が少なかったのではとも感じます。大きくなった時に園の名前を忘れても“小さい時、広い場所で思い切り遊んだ!”とは記憶にあるようにしたいと常に思っています。


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少人数クラスが受ける恩恵

数年前、海外の小学校に進学した子のクラス写真を見せてもらうと、20人程度の子どもの両端に大人が2名立っていました。「どちらが担任の先生ですか」と聞くと、「両方です」と言われて少し驚きました。欧米ではなくアジアの国です。

先日、「財務省、公立小学校で導入されている35人学級について40人学級の復活を文部科学省に求める方針を固める」というニュースが報道されました。財源確保のための支出抑制を目的にしたものですが、世界を見れば約30ヵ国を対象とするOECDの教育調査ではこの10年間、小学校一クラスの平均生徒数は「25人以下」となっており、2013年資料でもほとんどの国が1クラス平均は20人台となっています。35人でも相当な大人数であり、公立よりは人数が少ない私立でも日本では決して恵まれているとは言えない環境です。

 

一方、“クラスが大人数か少人数かで投資に見合うほど学力の差がつくのか”という疑問については、日本の教育システム上で理解し得る部分もあります。学ぶ側の発問を評価しない教育、学ぶ側が主体的に経験を再構成していくことを主としない教育ではその成果は表面的であり、塾が当たり前のように前提とされている国であればそれで機能しているからです。教育における“一人ひとりを細かく見れる”ことによる成長の差は、現在のクイズのようなテストや受験問題を解くための力よりも、個性や独創性、協調性などが評価される尺度によってより大きく表れるものと現場で実感しています。

 

もう一つ、少人数クラスが受ける恩恵的なものとして、一般にはあまり知られていない側面があります。

8月のことですが、朝から担任の先生たちが園児一人ひとりに対する表現活動の準備をしていました。その日は子ども達が楽しみにしている「流しそうめん」行事の日なので、翌日の準備をしていると思いました。流しそうめんは後片付けも結構大変で、そうめんが付いた床を掃除したり、流水をためたプールをしまったり、子ども達がいる中での作業にバタバタとします。行事が終わった後の午後の時間は、職員の休息も兼ねて当然自由時間だと思っていました。ところが、子ども達が食べ終わって少しゆっくり過ごした後には先生たちが朝準備をしていた表現活動を提示していました。ワイワイ楽しんだ流しそうめん行事が終わったばかりなのに子ども達が自ら落ち着いて机に向かい、集中して手指を動かしている姿にも驚きましたが、先生たちの切り替えの速さにも驚きました。子ども達にとっては行事も活動も遊びの延長として行っているのでどちらも自然な姿として映っていました。

同じように先週、電車に乗って少し遠出をする屋外での自然活動がある日、朝から担任の先生たちが忙しそうに絵の具とスポイトを用意して数字のカードを作っていました。特にこの日は年少が初めて参加する日でもあり、準備からいつも以上に緊張感があったので日を間違えているのかなとも思いましたが、やはりそうではなく帰ってきた後に手の込んだ活動を行おうと準備をしていました。先生たちの絶え間ない努力と成長援助への目標意識には心から感謝しています。一方で少人数クラスだから準備や片付け、移動などで時間や労力を効率化でき、一つのことで疲れ切ってしまわないで次のことができるということも少なからず大きいことと思っています。

 

少人数クラスは背景として“機会に恵まれる”ことが多く、好きなことを積み重ねたり、新たな自分の能力と出会ったりすることが増えます。機会さえ多ければ成果が上がるとは思いませんが、主体的な意欲による「発達の連続性」はそれなりに体験の種類や回数も多くなければ事象として現れません。楽しむだけで夢中になるまで達しなかったり、自信まで至らなかったりで終わってしまうのはもったいないと感じます。“習うより慣れろ”ということわざがある通り、最初は苦手なものでもいつの間にか好きになっていることもよくあり、自分なりに課題を調節していく能力もつきます。

子ども達の成長していく姿、それにやりがいや喜びを感じる先生たちの姿を見られることは大変嬉しいことであり、まだまだ出来ることがあると思っていますので、引き続きその可能性を広げていきたいと思います。


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Happy Halloween

数日前から沢山の園児がハロウィンの日を楽しみにしていました。Happy Halloween!と“魔女さん”と“ガイコツさん”が入口から入ってくると、子ども達は「ワー!」「凄い!」笑顔で歓声を上げました。
今年のハロウィンは海外生まれの園児のご両親にお手伝いをいただきました。最初に子ども達は事前に打ち合わせをして決めておいた仮装の衣装作りを楽しみました。「わたし似合う?」「恰好いい?」と友達同士で見せ合う姿や声が目立ち、子ども達はファンタジーの世界の中に身をおいて遊んでいるようでした。
ガイコツの衣装をまとったお父様が英語で数字遊びを始めると子ども達は嬉しそうに集まり、ハロウィンに関する絵本の読み聞かせも英語のみで行いましたが、みんな真剣に聴きながら内容も理解していました。そしてお楽しみのりんごを、手を使わず口で取るゲームでは、小さな口でパクリと取って食べ、一人ずつ「Trick or Treat !」と言って魔女さんとガイコツさんからお菓子をもらいました。手づくりの衣装を気に入った子は給食もそれを着たまま食べて過ごし、続きを楽しみました。
日頃から自分で物語を想像して絵画をしたり、遊んだりしている子ほど会を通じて楽しんでいる様子でした。ハロウィンは日本でもすっかり定着し、幼児たちに魅力的なファンタジーがありますので事前の表現活動にも教育課程を意識しながら上手に活用したいと改めて思いました。
お手伝いいただいた園児のご両親、前日遅くまで準備していた先生たちに心から感謝しております。


リトミックを “神社”で

爽やかな秋晴れの天気のもと、屋外に出て神社でリトミックをしました。どんぐりがいっぱいの地面を見て、先生が大きなピアニカで♪どんぐりころころ~と弾き始めると子ども達も歌いながらいつもよりどんぐりを興味深そうに触って眺めながら集め始めました。
子ども達は少し飽き始めると走り出します。そこで今度は先生が速いリズムで演奏を始めて子ども達がそのリズムに乗って走り、途中で演奏を遅いリズムに変えると子ども達は絵本の中のおじいちゃんやおばあちゃんを模倣し出し、足の裏に土の感触を感じながらゆっくりと歩き始めました。
カラフルなフープやカードは、音楽と共に木や土の香りがする空気の中を舞い、子ども達は顔に木漏れ日が当たってご機嫌そうです。ある子が丸いカードを両耳の上に当てて「ミッキー!」というと、先生のピアニカは♪ミッキーマウスのマーチを演奏し始め、子ども達は自分たちの世界へと更に入っていきました。最後はリズムスティックを両手に持って♪森の音楽家で木の切り株や幹を叩き、自然の中にもいろいろな音が存在することを確かめました。
葉の緑と秋の空気、太陽の恵みと土の香りの中で先生が子ども達を導き、同時に子ども達が先生を導き、自然と音楽の調和によって癒されるような時間でした。

一昨日は自然のままの広場で、昨日は畑で、今日は神社で3日間土の香りや感触を楽しみ、土は子ども達にとって大変貴重な資源と感じながら地域社会に感謝をしています。多くの公園や園庭、校庭の子ども達が遊べる場所には「土」はありません。抗菌されたサラサラの砂は、衛生上はよいかもしれませんが手指の運動となる“おだんご”も作れず、また、草が生えない虫もいないような屋外遊びでは「共生」という概念も感じることができません。また、転べば下の地面は土より堅いため怪我も増え、安全面でも決して高いとは言えないと思います。子どもの成長や教育にとって大切なものとは何か、地域でも出来ることはあり、地域全体で一緒に考えていくことが大切だと思います。

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お芋堀りとバターづくり

「ヘリコプターでお芋を持って帰ってきてね!」と前日に読み聞かせをしたお芋堀が出てくる絵本のストーリーを覚えていた年少の子たちが、朝、お芋堀に出かける年長と年中の子たちに声をかけていました。農園では子ども達は園主さんと会話をしながら、「よし、掘るぞ~!」と軍手をはめた手で土をかき出すように勢いよく掘り始めました。お芋を取り上げて満面の笑みを浮かべなら「幼虫がいた!」と土の中の生き物に触れたり、農園主さんからは「これはねずみが食べ残したお芋」「これはカラスがつっついたもの」と実物を見せながら説明してくれたり、子ども達は興味津々に沢山のことを学びました。お芋堀が終わると、大きなシャベルで土の中に穴を開け、その中に入って遊んでいました。手入れが行き届いたきれいな土で園主さんは裸足で遊んでもらっても全く危なくないと言っていました。帰り道は「大丈夫、自分でもつ!」と沢山のお芋をリュックに入れ、背中にはかなりの重さを感じるにも関わらず元気に30分歩いて戻りました。

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園では持参されるさつま芋につける「バター」を栄養士先生の指導のもと、みんなで作る準備をしていました。生乳をペットボトルに入れてシャカシャカと振り、乳清とバターを分離させる作業をみんなで楽しんで盛り上がりました。冷蔵庫に入れて完成させる前に一人一口ずつ舐めると表情が輝くと同時に「おいしい!」という声が広がりました。その後で年長と年中はお芋を前に置きながらクレパス絵画をし、終わるとお芋をたらいの中で洗って調理室に届けました。

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みんなで作った「バター」。脂肪分45%の生乳からつくっていますが、全く脂っぽさを感じないヘルシーな味加減です。

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小松菜、ブロッコリー、キャベツなどは畑にはありませんでしたが、同じ農園で採れたものを販売コーナーより買ってきました。年長さんの絵には畑に生えていた時の姿が想像で再現されました。
 

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橋井健司。保育士・研修指導講師。新教育デザイニング株式会社 代表取締役。社会福祉法人の監事。

著書
「世界基準の幼稚園~6歳までにリーダーシップは磨かれる」
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