幼児教育とグローバル基準の保育

幼児のファンタジーな世界と無限の可能性。小さな発見やフローの積み重ねからイノベーティブな未来を創る。有能感を持った自立した人間として、生涯を通して学び続ける資質を持って成長できるよう、今しかできない幼少期の土台作りを支援します。



化学実験で「ゲル」をつくろう

*サイエンス活動における講師の先生の手記をそのまま掲載します。

<本日の実験概要と子どもたちの様子>
先生が子どもたちに見せたのは、本物そっくりのイクラの軍艦巻き。「あ!イクラだ!」「私も作りたい!」と早速食いつく子どもたち。
「プラスチックビーカー」に入った水に、「塩化カルシウム」という特別な薬を溶かして自分たちで試薬を作りました。
「白いカルピスみたい!」「全部溶かせた!」「溶けたら透明になった!」など、先生にたくさんの「わかった!」を投げかける子どもたち。
自分で試薬を作る体験を通して、「溶ける」という概念を体験していただけたと思います。

次は人工いくらの素を準備します。「アルギン酸ナトリウム」水溶液に、赤・黄・青の絵の具で自分の好きな色を付けました。

いよいよ、人工いくら作り。「アルギン酸ナトリウム」の水溶液を「スポイト」で吸い取り、一滴ずつ「塩化カルシウム水溶液」の中に落とします。
塩化カルシウム水溶液の中に落とした瞬間に丸いイクラの形ができるという変化は子供たちの心をわしづかみ。
「うわぁ!!すごい!!」と、歓声をあげながら、真剣に集中して取り組んでいました。
子どもの集中力はすごいですね。

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初めて使うスポイトも、何度か試すうちに、とても上手に使うことができるようになりました。

自分で作った様々な形の人工いくら。「おうちの人に見せる!」ということだったので、「絶対に蓋をあけない」、というお約束をしっかりして、自分だけのいくらを容器に入れて持ち帰ることになりました。

#お持ち帰りいただいたものは、誤飲や目に入ったりすることのないよう管理いただき、観察後は、液体は流しなどで多量の流水と一緒に流し、固形物は燃えるごみと一緒に廃棄をお願いいたします。

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【講師略歴】 柳田真樹子
東京大学大学院(工学部)修了。大手メーカーにて環境装置の設計開発に従事している中で、子どもの教育に体験型授業が必要であることを実感。
教育ベンチャー(株)ウィル・シードにて、全国の小中学校を対象にした特別授業(トレーディングゲーム授業)の運営や講師を務める。
その後、(株)ベネッセコーポレーションにて、小学生向けのサイエンス教室の立ち上げ・プログラム制作・講師育成に従事し、独立。
現在「こどもみらい工房」代表。民間学童などで科学実験教室や算数実験教室のプログラムを提供している。




温水プール 挑戦する子ども達

毎年3月、卒園する子たちが楽しかった思い出として描く絵画の中には「温水プールに行ったこと」が必ず入っています。プールに習い事などで行き慣れている子も、いない子も、園で温水プールに行ったことがとても楽しかったと言うことにいつも不思議さを感じていました。

今年も週1回で全6回ですが、毎回子ども達(年長年中)の水に対する親密度が上がると共に新しいことができるようになっている姿を見させてもらいました。体操の先生も一緒にプールに入っていますが決して子ども達を順番に並べたり、集合させたり、レッスンのようなことはせず、自由に遊んでいる中でタイミングを図ってチャレンジングなことに誘います。みんな揃って行うのは準備体操と着替えぐらいです。最終日は首から上ぐらいしか出ない水深90㎝の流れるプールにも、少人数制を生かしての理由だけでなく、全員の身体能力と意欲が基準に達していると判断してみんなで揃って入りました。初めてのことでした。

子どもはありのままが尊重されれば誰でも昨日やったことより更に一歩進めたいと無意識的に(本能的に)努力をするようです。但し、一人ひとり個性があるように水の中でも、水に顔をつける→伏し浮き→バタ足などみんなが同じ順番で発展させていくものではなく、それぞれ自分の進み方があり、時には回り道を楽しみたいような時間や日もあると感じます。これは本来机で行う勉強も同じだと思います。子どもが興味を抱いたことから教師が適切な援助をしていくことで自ら学び方を学び、それが時に爆発的なスピードで量をこなし、階段を上ることにもつながります。勉強もスポーツもある程度小グループで支援者(指導者)が同じフィロソフィーを持てばあらゆる場面で子どもの能力はもっと高まると感じます。

子ども達が発する言葉で最も嬉しいのは、何かに夢中になって力を尽くした後、脱力したような表情で「あ~楽しかった~!」とひとり言のように言う時です。今年の温水プールの帰り道でも何回か聞きました。

幼児期から何でも早く習い始めた方がいいと考える早期教育には問題があると思いますが、一方で「子どもは遊ぶことが勉強」と一刀両断的に語られる幼児教育にも、社会環境が昔と今で変わっている中環境を放置しがちというマイナスの一面があるように思います。これからも子どもの様子に学びながら勉強していくことを忘れないよう心掛けたいと思います。



日本の伝統食クッキング 「お豆腐」

クッキングを開始する前に担任の先生がみんなの好きな“しぜんのえほん「とうふ」”を読み、子ども達が期待感を膨らませる心の準備をしました。写真と一緒に大豆から豆腐ができるまでの様子や豆腐を使った料理まで載っている本でいつも子ども達が楽しんでいます。
栄養士の先生が一晩漬けた大豆をミキサーにかけると、「わ~すごい」という歓声が上がり、黄色の固体がミキサーにかけると白色の液体になる様子を不思議そうに見ていました。液体になった大豆を土鍋で煮る時には「ヨーグルト工場みたい」という声も上がり、大豆が次々と変化していく様子を絵本の写真とすり合わせる子ども達の姿が目立ちました。
こし袋でおからと豆乳に分ける作業はかなり力が必要ですが年中の子たちが中心になって頑張ってくれました。豆乳はその場でみんなで飲み、「美味しい」「くさい!」等色々な声がありました。工程で豆腐以上に出来た沢山のおからは翌日の給食で使うことにしています。最後に豆乳を温め、梅酢を入れてしばらく置き、ざるに入れて更に時間を置いて出来上がりました。
前日、指導を行う先生から「何回か試作したが加減が難しく固まらないかもしれない」と相談がありましたが、凝固剤や消泡剤を使わない豆腐がどのようなものか、本物を子ども達に感じてもらえばよいと話し合い、準備をしてもらいました。出来上がったお豆腐をその場で食べた子ども達からは「チーズみたい」という声が多く上がり、市販されているお豆腐との違いを食感や味でしっかりと感じていたようでした。日本の伝統食づくりを通じて、色、におい、味、形において大豆からお豆腐に変化していく様子を五感で感じてくれたものと思います。9月はお味噌作りを予定しております。

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以下は担当した栄養士の先生の手記です。
「豆腐を固めるのに普通は凝固剤を使いますが、今日は梅酢を使って健康的な豆腐を作りました。大豆をミキサーにかけ、鍋に入れて煮て、こし袋でおからと豆乳に分けました。豆乳を温め、梅酢を入れてしばらくおき、ざるに入れてしばらくして、出来上がりです。大豆がたっぷり入った豆腐は「高タンパク”・低脂肪」の健康的な食品です。ぜひ、食卓の一品に加えてみて下さい。」

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伝統文化に親しむ「日本舞踊」

日本舞踊の水木歌蓮先生と先生の教室に弟子として通う小学生の卒園児に来園してもらいました。園児たちも朝から浴衣や甚平で登園をし、お盆休み明けの保育室は色鮮やかに飾られました。
小2のお姉さんと日本舞踊の先生が園児たちの前で正座をすると、先ほどまで何人かの園児が走り回っていた室内は自然と厳かな空気に包まれ、気が付けば全員が正座をして静かにお辞儀をしていました。小2の子が立派な姿で舞う「うさぎ団子」を尊敬と親しみの眼差しをしながら鑑賞をすると、自分たちもやってみたいという気が園児たちに起こり始めました。先生が振り付けの説明をすると真剣な表情で真似をし、三味線の音楽に合わせて踊った時には初めてにも関わらず、かなり出来ている子が何人かおりましたので先生も驚いたようです。日本舞踊の「座り方」「立ち方」「歩き方」の提示にもみんな笑顔を見せながら意欲的に取り組んでいました。特に頭にタオルを乗せて落ちないようにまっすぐ歩く「歩き方」は、園児たちが大変楽しんでいました。年長の子は昨年のことをよく覚えており、始めから正確に出来ていたことにも驚きました。
最も嬉しかったことは、「うさぎ団子」の振り付けを園児たちが先生の指導から学ぼうとしている時のことです。多くの園児たちがただ受け身で模倣しようとしているのではなく、“うさぎが餅をつく姿”や“うさぎが踊る姿”を自分なりに想像して心に入れてから再現しようとしていました。毎朝の歌でも一人ひとりのイメージを大切に隣の子とは違う身振り手振りを尊重しながらみんなで同じ曲を歌ったり、リトミックで自分らしく動物の模倣をしたりする積み重ねや習慣が、伝統文化を前にしても自分の感性で再現しようとする姿につながったことと嬉しく思います。また、小さな子たちにとって同じ環境で育った卒園児の存在は大きなものであり、たとえ同じ時期を過ごしていない子ども同士でも親しみを感じ合えることには大変興味深く感じます。
“日本の伝統文化に触れる心地よさ”や“日本文化が培ってきた豊かな感性”を心や身体で少しでも感じて自分のものにしてくれれば嬉しく思います。卒園児さんも踊りを終えると緊張がほぐれて昔の顔に戻り、年下の子たちに似顔絵をプレゼントしたり、折り紙を折ってくれたり、有意義な時間となりました。



情動を身体で表現する「ボディペインティング」

からだ全部(全身)を使って表現する楽しさを感じることは、幼児期に是非しておきたい体験です。「ボディペインティング」は絵の具を全身に塗り、床一面に大きく敷いた紙の上で“人間スタンプ”になったり、からだに塗ること自体を楽しんで“変身した気分”になったりする等、自由に感性を爆発させる活動ですが、少人数教育環境だから時間を十分に与えて自由度を広げられるということも背景にあります。
また、この活動は日頃の保育方針が一人ひとりに浸透しているかどうかバロメーターの役割も果たしています。全身を使って表現することを、秩序を保ちつつ十分に楽しみ、それを友達と同じ空間でやり取りできるというのは、それほど簡単なことではなく毎日の積み重ねが必要です。「汚したくない!」というような前頭葉からの抑制指示が、「楽しそう!」と感じる心(内臓感覚)の情動に勝る子が日本では多いという印象がありますが、情動をありのままに表現しながら必要なところだけ自らブレーキをかけて他者と楽しみを共有するという快適さを習慣的に覚えると、頭と身体が自然に調和できるようになってきます。むしろ幼児期の後期になるにつれて更に器用になって発展します。これは幼児教育において大変重要なことのひとつだと思っています。最近では、脳科学においても知性が情動をコントロールしているのではなく、情動が知性を支えているという見解があり、生命科学においても大脳が情動を支配することは系統発生的にないという意見があります。
少し話が深くなってしまいましたが、子ども達の生き生きとした表情、感性を爆発させた表情を見られるのはとても幸せに感じます。終わった後の床掃除やボディソープで一人ひとりの体を洗うのは職員にとって重労働ですが、皆やりがいを感じてくれています。嬉しいことに今年は年長や年中の子たちが雑巾がけを行っていると、年少の子たちも自主的に手伝ってくれました。

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橋井健司。保育士・研修指導講師。新教育デザイニング株式会社 代表取締役。社会福祉法人の監事。

著書
「世界基準の幼稚園~6歳までにリーダーシップは磨かれる」
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