文部科学省が「生きる力を育む」ということを指導要領で重視する中、日本の小中学生における思考力や課題発見力の低さ、身体調整能力の低下などの問題が度々取り上げられています。私はどれも幼少期の外遊びの時間数や遊び方の方針とも大きく連関しているように感じています。実際に現代では園庭があっても外遊びの時間が短いという例が少なくありません。また、一度に長く取るべき外遊びの時間を行事の練習などを挟むために短い時間で区切ってしまうという話もよく聞きます。外遊びを短い時間で区切ってしまうと、遊びを深めることができず、集中力や思考力も伸びません。

時間だけでなく遊び方への方針も現代では大いに問題があると感じます。「順番に、右から左へ登る」「ここからこの範囲だけで遊ぶ」「すべり台の登りは禁止」等、遊び方に決まりが多すぎるのも現代の特徴であり、これでは子どもが自分で課題を発見したり、そこに至る喜びを感じたりする機会が制限され、課題発見力が十分に培われない状態になってしまいます。

外遊びの時間が短いのは職員の人数の都合に加え、怪我をさせないための配慮や行事の完成度を求めるために練習などが頻繁に入ること等、保護者配慮を含めた日本の制度や風習上とも結びつきが大きいので中々変えることは難しい部分があると思います。しかし、外遊びが足りていないことで結局、教育活動の成果も表面的なものしか出ないということでは後の問題を大きくしているにすぎません。怪我についても同様です。私たちは大切なお子さんをご家族からお預かりする以上怪我は極力ないようにするのが努めですが、だからと言って遊び方を何から何まで決めてしまって運動調整能力や自己防衛力が低い子にしてしまっては子どもやご家族のためになりません。

「生きる力の基礎を培う」は、文部科学省の幼稚園教育要領や厚生労働省の保育指針に近年になって新たに掲げられた大切な目標です。私たちはこれまでの風習や価値観とも真摯に向かい合っていく必要に立たされていると思います。