夏の間は季節の特性を考えて通常のような集まりや巧緻性を誘導するようなカリキュラムは避け、わくわくドキドキする体験型活動や異年齢合同での学び合いや取り組みが促進されるような活動を担任の先生たちに企画してもらい、講師の先生たちとも共有しました。

今年は多くの子たちが外からもサマースクールとして参加してくれて、楽しく賑やかな毎日でした。印象的だったのは最初の1週間ぐらいは誰もが絵画の時間になると、実物を実物でしか表現しなかったり、周囲を見て誰かの真似をしようとしたりしていたことでした。1人や2人ではなくほとんどのお子さんがそのようにされ、子ども同士で絵画のモチーフを前に「ないもの描いちゃだめだよ~」と小声で注意をし合っている姿を見た時には、何としても“自分の心象をありのままに表現することが素晴らしい”という肯定感だけはせめて感じさせて返してあげたいという強い思いが込み上げてきました。講師や担任の先生たちも同じことを感じていました。
短期間なので限度はあると思いましたが、それでも幼児の柔軟性は凄いと感じるほど、2週間、3週間と過ごすうちに見る見るその絵は変わり、幼児らしい心象が個人差はあっても誰からも出るようになりました。その短期間での変化には職員みんなが驚き、幼児のもつ柔軟性を改めて学ぶことにもなりました。

異年齢でのコラボレーションも自由時間や生活の中で盛んに見られました。最初は、沢山の大きな子たちが来て年下の子たちは戸惑ってしまったり、初めて来た年上の子達には年下の子と接する時に“なんで譲らなきゃいけないの”と心で感じているような姿もありましたが、次第に年上の子たちは年下から尊敬の言葉をかけられることで配慮ができるようになり、年下の子たちは年上が行うことの姿に未来の自分を重ね合わせる等、変化が出てきました。「ぼく(わたし)も○○組になったら○○したい!(していい?)」という、来年や再来年の自分をイメージする言葉が毎日出て来ました。

これも嬉しいことでした。通っている教室で逆上がりができなくなってしまったという子が、「ここでなら出来る気がする!鉄棒を出して欲しい!」と言ってきました。プール期間中は室内用の鉄棒は奥にあり、出し入れが困難なので普通に遊びたいぐらいならまた今度にしてもらうのですが、その切羽詰まった表情から何とかして上げなければと思い、用意しました。
「場所」が意欲に与える影響について興味深いのは、アタッチメント(愛着)理論や脳科学においても拠り所や出発点等として関連付けられてよく取り上げられることです。毎週空手教室に行く子が道着への着替えは頑なに園でしてから行きたいという姿もそれに似ており、私達としては嬉しいものです。余談ですが、心の準備として毎回必ず自分が落ち着ける場所で自分が決めたことをするのはイチロー選手など有名なスポーツ選手や企業経営者に多いと聞きます。幼児期からその感覚が分かり、自分で自分にスイッチを入れるためにどこで何をすればよいか感じられることは良いことだと思います。

今週からいよいよ2学期、実りの「秋」が始まりました。夏の期間は私達にとっても日頃の保育をふり返り、反省し、改めて子どもを信じることの大切さや一人ひとりに適切な援助を考える貴重な時間となりました。夏の間にひとまわり大きくなった子ども達にまた新しい気持ちで会える毎日が楽しみです。