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幼児教育としての音楽活動は、身体および人格形成への発達援助としての手段であり、専門教育に準ずるものではありません。私たちの基本生活は人間関係を含めて「リズム」が大きく影響しており、リズムが身につけばそれらも円滑になり、将来、人生の様々な分野で応用が効きます。スポーツ選手においても一流のアスリートほどリズム感を持っていたり、大切にしていたりします。
私の持論ですが、小学3年生ぐらいまでの「音楽」授業はリトミックを必須にし、それを中心に活動を考えた方がよいと思っています。なぜなら、身体で反応できていないのに楽器をやったり、合奏をしたり、譜面を読めても本当の楽しさ(身体的な快感)は実感できていないからです。頭で上手にできる姿と身体で楽しんでいる姿は似ているようで全く違い、見ている人を心地よくするのも後者です。恐らく「リズム」は生物が生命を営むうえで欠かせないものではないかと思います。

また、幼児期は直観的思考期と言われる時期にあり、頭の中だけで自分の考えを操作することができません。「考える力」をつけるためには、幼児は手や足、体を動かしてしなければならず、音楽を通してファンタジーな世界に入り、身体全体を動かすことは表現力に留まらず、思考力や想像力も豊かにします。

幼稚園や保育園で行われている「音楽会」は、“みんなで出来ることをする”ことから曲目や内容を逆算的に決められることが多く、幼児教育としての目的や目標とは全く別の存在として、どちらかと言えば運動会やマラソン大会に近いものとなっているように感じます。このようなやり方では音楽会を通じて音楽が嫌いになってしまう子も少なくありません。「練習」というものに対して主体的に意欲や行動を起こせるようになるのは、“6歳”が始まりであり、年長であっても5歳ではまだ不十分な発達段階とさえ感じます。

ジャン・ピアジェは、事物や事象のすべてを生命あるものとして捉える幼児の認知特性を「アニミズム」と定義しました。また、ファンタジーな世界観を幼少期教育の柱にしたルドルフ・シュタイナーは「学校に来る生徒たちは無意識的な音楽家である」とまで記しております。
音楽は“生の営み”そのものであり、子ども達一人ひとりのものです。練習も行事のためにした努力の経験は、残念ながら将来それほど競争力のある深い体験や達成感にはつながらず、自分の楽しさを追求するために夢中で努力できる子に叶いません。
子ども達には音楽を通じて自分を表現することの楽しさ、他者と共鳴し合うことの面白さを自ら発見し、自ら深めてもらえるような援助が大切だと思います。