年長にとって最後の社会活動の場を、子どもたちと話し合い、「動物園」にしました。この時期は年度末で担任は多忙を極める時期のため、今回は最初から最後まで園長と子どもたちの企画として全面的に関わらせてもらいました。

行き先を決めるとき、最も重視したのは単なる遠足で終わらせないということでした。実は、動物園や水族館は観て楽しむだけで終わるのではないかと思い、私の中では全く候補にしていなかったのですが、子どもたちが「自分たちで回るコースを決めたい」「自分たちで時間の使い方を決めたい」というような意見を強い意思を示してきたことで、絶好の教育的機会になるだろうと心が動かされました。


一週間前、見学のコースを地図を見ながら決める時には、グループで話し合ってもらい、鉛筆を持って書き出してもらいました。時間配分まではしなかったものの、“どこでゆっくり過ごしたいのか”、“どこは急いでもよいのか”をはっきりさせ、遊具で遊びたければ、○○はゆっくり観れない、または絵を描きたければ、○○まではゆっくり見れない等、優先順をすべて子どもたちに決定してもらいました。


「動物園で絵を描きたい」という意見も多かったので、画板になりそうな小道具と下書き用の鉛筆も用意していきました。これも、実際はおそらく見ることに夢中になって50%以上の確率で使われず、もしかしたら誰も書かずに白紙で持ち帰ることになるかもしれないと職員と予想していましたが、子どもたちが見事にそれを裏切ってくれました。
アートの時間に図鑑を見て「描きたい!」と描いた時の絵とも違う、生命感にあふれる表現や動物園という場全体を表現しようとする絵などがみられ、成長を実感しました。

そして、最も驚いたことは、子どもたちが動物園で一番見学に時間を費やしたところは“何もいない場”だったということです。死亡した象の「はなこ」のいた場所が空いたままになっているエリアには資料室があり、はなこが生きた軌跡が紹介され、関連する絵本などが置かれていました。子どもたちは慈しむように絵本を読むのに夢中になったり、長生きしたひみつを探ったり、残された歯や足型などから好奇心を深めたり、かなりの時間を費やしました。もはや存在しないものに対しても自分たちの力で興味を広げ合い、読めない漢字や分からない説明には人に尋ねながら学びを深めることができ、見たものだけに好奇心が左右されない姿には大変成長を感じました。


夕方、園に戻ってからは、全員疲れているにも関わらず、おやつを食べ終わるとすぐ、休憩も取らずに鉛筆で描いた絵に色をつけ始めていました。自分の表現を完成させたいという強い意欲が勝っていました。来週の月曜日は、年下の園児たちの前で体験したことを発表します。これは年中や年少の子どもたちにとっても、将来への期待感や見通しをもつ上で大切な機会です。みんな次は自分の番だと期待を高めます。大変楽しみにしております。

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