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保育園や幼稚園から研修の依頼を受けるとき、「改善したいと感じているのはどんなことですか」と聞くと、多くの園が「職員間での保育観の違いをどう乗り越えるか」「保育観の違う職員とどう向かい合うか」という課題を上げる。マネージメント研修では、それについてどのように対応すべきか手順を紹介させていただいている。しかし、実は「保育観の違い」はほぼ存在しない。保育士や教員によって違うのは「保育観」ではなく、『社会観』でしかない。

幼稚園教育要領と保育所保育指針では、幼児教育として育みたい能力・資質として「3つの柱」が示され、更に幼児期の終わりまでに育って欲しい「10の姿」まで方向づけされている。これはどの園に勤めても基本的に目指さなければいけない方向性である。また、どの園で働いても子どもに対しては年齢ごとの発達段階に沿って援助が成されるべきものであり、これを逸脱することも基本的にあってはならない。
ここまで前提条件が決まっていれば、「保育観」がバラバラという状態になるはずがない。実際に、様々な保育園や幼稚園で研修講師をさせていただく際に「どんな保育を理想としているか」と一人ひとりに発言してもらうと、ほとんど皆が同じ方向性を示し、違いを感じない。では、何が違うのだろうか?

日本の場合、中学や高校で“わたしと哲学”や“わたしと社会”について学びを深めたり、意見を交換したりする授業がまずない。学生時代にアルバイトをすれば、少しは自分の「社会観」を磨く体験ができるが、それだけでは一面的であり不十分である。一定期間、留学でもしない限り、「社会観」を磨く機会がない。そして、教員や保育士を目指す多くの人はその閉ざされた学校社会からそのまま就業するため、大人になって余程自分から違う世界の人と付き合うように努力しない限り、自分の社会観が磨かれない。

しかし、これを乗り越えないと、保育の質も、教育の質も上がらない。理念や方法だけを語っていても前に進まない。「社会観」の違いをどのように乗り越えるか、来年はそこにツールやメソッドを開発したい。自分だからこそできることがあるかもしれない。


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