私は、家庭の子育てにおいてはみんな自己流である程度感情的でもいいと思っている方なので、メソッドのような本にはあまり関心はないのですが、長谷川さんの著書はご自身の理系のキャリアを生かし、世界中の文献を読んでまとめた理論ということで、読ませていただくのを大変楽しみにしていました。
実際に読んでみると、最初の遺伝や先天性の部分は本の構成上か、私の知っている長谷川さんのイメージから遠く、それほど心に響かなかったのですが(笑)、すぐに当時の長谷川さんがお子さんに向けていた優しい眼差しや温かい心と重なる内容が続き、これは長谷川さんだから書ける本だということが分かりました。1章 コミュニケーション、2章 生活習慣(食事や睡眠)、3章 遊びがあって、最後に4章で学習があり、親の関心に沿って全体像を描いているものと思います。私にとっても勉強になる内容が沢山ありました。
特に印象的だったのは、「愛着(アタッチメント)」や「食事」、「母親と父親の役割の違い」について丁寧に触れ、「スマホやゲームなど電子機器類は買い与えない方がよい」という、一見文系の専門家や専業ママが我流で言いそうなことを、フルタイムで働く理系ママが根拠のある理論で紹介するという本は珍しいものと思います。その点で、この本は客観的にも大変読みごたえがあります。(長谷川さんは当時からフルタイムママです)
「食事」については、当時、長谷川さんご自身のお子さんに強めの食物アレルギーがあったので、お弁当をもってきてもらう期間が長かったのですが、フルタイムで働きながらいつも丁寧に対応していたお母さんの姿が本の内容と重なって思い出されました。
また、お父さんも大変積極的で協力的な方で当時の担任が「七夕会」での劇をお願いした時にはご両親で受けてくださり、そんな温かさも本から感じました。私にとっては理論だけの本ではなく、また、子育てマニアやお受験ママが書くような本でもなく、子どもを大切にするごく普通の母親が自分のキャリアを生かしてみんなのためにと書いた本のように感じます。
『世界基準の幼稚園』とも共通する点がたくさんありますので、家庭での実践編として、また保育現場での具体的アプローチのヒントとして、ぜひ手にとって読んでみていただければと思います。
#一般論ですが、タイトルや表紙まわりには商業出版の場合、著者には決定権がありません。タイトルで引いてしまった方も、是非、中を読んでみてご判断下さい!笑