幼児教育とグローバル基準の保育

幼児のファンタジーな世界と無限の可能性。小さな発見やフローの積み重ねからイノベーティブな未来を創る。有能感を持った自立した人間として、生涯を通して学び続ける資質を持って成長できるよう、今しかできない幼少期の土台作りを支援します。

一般

埼玉の保育園 プール事故について

先週、さいたま市の認可保育園でプール遊びの最中、4歳の園児が亡くなるという、とても悲しい出来事がありました。

●「片付けで目離す=保育園プール4歳死亡-さいたま」
https://www.jiji.com/jc/article?k=2017082600480&g=soc


私の経験上ですが、日常の保育中、子どもが怪我または怪我をしそうになる“ヒヤリ”とする出来事は、職員の「準備中」「片付中」に起こることがかなり多いと感じています。先生が子どもたちを見ていないからというだけの理由ではなく、先生自身がソワソワしている時は、子どもたちもソワソワしがちだからです。
先日、夏まつり会場を下見した際にも、“ここで保護者が準備している最中に子どもがいたら、その興奮度から危ない”と直感的に思い、直前にも関わらず開始時間を遅らせ、準備中は園で子どもたちを預かることに徹底しました。保護者の皆さんには二度手間をかける措置を、急遽取らせてもらいました。

しかし、今回のさいたま市の保育園の死亡事故は、現場の保育士が「片付け」をしていたことだけが原因なのでしょうか?現場の職員にも業務上過失致死を視野に警察で調べているとの報道です。確かにプールの最中に一分間目を離すということはしてはならないことですが、気温と時間帯の関係、園児の年齢と職員の人数比、設備の適性度などからも再発防止のために十分検証されるべきだと思います。

24日は夕方でも30℃を越える予報
今回のプール事故について報道された時、私の園も翌日プールを予定しておりましたが、それより、夕方も気温が下がらない予報が出ている夏まつり会での「熱中症」の方が心配になりました。また、午後3時半というのは職員も疲労がたまり、集中力が切れる時間です。
こちらの保育士の方のブログをぜひご参考いただければと思います。「仮説」として触れていますが、現場のことをよく知っている実践的な知識も豊富な方のブログです。

●「保育園でのプール事故について。」
http://blog.livedoor.jp/gacha_5/archives/3446921.html

3~5歳児19名に保育士2名の危険度
この人数比について、「人員不足のため」と思われている方もいるかもしれませんが、これは厚生労働省および自治体の『基準内』です。基本的に異年齢環境というのは、怪我のリスクが同年齢環境よりも高く、より手厚く「非効率な」人員配置を必要とします。わたしの園は異年齢環境が教育上の特徴ですが、プールは同年齢もしくは習熟度レベルが近い子同士のみで入っています。
また、19人の子どもがいれば、一人か二人はその中に必ず特に注意しなければならない目を離せない子が大体どの園やクラスにもいます。つまり、職員2名であれば、片付けをしていなくても、一人がその一人か二人を見守り、あと一人で残りの17、18人を見ることになり、誰かが「先生、おしっこ~」と言えばその時点で誰も見ていない子たちがいる状況となります。業務上過失致死の容疑が現場の一保育士に向けられるとすれば、厚生労働省や自治体にはその責任がないのでしょうか。

設備の適性度
今回のプールは手づくりのものということ。ダイナミックに水遊びする楽しそうな写真をホームページのトップで紹介している様子から、多くの方が意見されていた「予算がないから仕方なくつくって可愛そう」とは、(本当のところは分かりませんが)最初のきっかけは仮にそうだったとしても、少し違うような感じもします。いままではずっとこの園の素敵な遊び環境だったのかもしれません。しかし、19名の異年齢の子どもたちが2名程度の保育士の援助で安全に遊べる環境だったのか、床面やつかまる場所などに落ち度はなかったのか、残念ですが、厳しく検証されるべきだと思います。


どうすれば重大事故を防げるか?

ハインリッヒの法則_svg(画像出典先 ウィキペディア)

「ハインリッヒの法則」というデータ的定義があります。1件の重大な事故の下には、29件の軽微な事故があり、その下には300件のヒヤッとする事例が存在しているというものです。

プールの話ではありませんが、先日の夏まつり会では、園で一度もやったことのない「花火」を行いました。子どもたちは「火」をみると、本能のようにみんな一気にろうそく目がけて押し寄せてきました。卒園児たちもいたので全部で30名ぐらいです。よりによって職員が帰った後であり、お母さん方はお店コーナーの運営で疲労度がピークに達している時間帯であり、大慌てで対応しながら数名のお父さんがいなければ大怪我にもつながりかねないヒヤッとする状況がありました。そして、来年に向けては完璧な運営方法を考え、皆さんとシェアしようと決めました。
保育や子育てをしている中では、必ず「ヒヤッ」とする場面があると思います。「ない」という人がいれば、余程子どもを抑えつけているか、鈍感な人だと思います。この「ヒヤッ」とする段階で我慢せず、後回しにせず、隠さず、みんなと共有して対策を実行すれば、かなりの確率で大きな怪我や事故は防げると私は信じています。大切なのは行動です。
私も決して完璧ではありません。みなさんと共に日々改善に励んでいる一人です。今回のような悲しい事故が二度と子育ての現場で起こらないよう願いながら、自分自身も常に過信しないよう努めていきたいと思います。



保育・教育の「質」と政策に関して

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2週間前、東京新聞さんから都議選に向け、「保育の質」に関して取材をされたいと依頼があり、協力いたしました。

<東京新聞 6月25日朝刊 社会面 都議選2017~待機ゼロの足元>
キャプチャ

*外遊びの写真ならば、立ちブランコをしたり、すべり台の逆のぼりをしている姿の方が園の特徴が出て良いと思ったのですが、この日は雨上りで子どもたちはそれには興味はなく、走って遊ぶことに夢中になっていました。。。

さて、本日の記事に関してですが、4、5歳児(年中・年長)8名に対して保育者1名という私の考えは、これでも最大で考えたときの人数です。昨年の今の時期は4、5歳児(年中・年長)が12名おり、常時2名を配置していました。4、5歳児になれば子ども同士で遊ぶ頻度が上がるので、遠くから見ているだけでいいと思ったら質の低い保育に留まり、成長にも明らかな違いが出ます。幼児期の後期は信頼できる大人との対話を続けながら、自分と外側の環境や他人との関係を健全に広げ、自分の価値に自信を高める時期です。友達と遊ぶことが多い時期だからといって放置してはいけません。しかも、現代では幼稚園教育要領に元々書いてある「基本4時間」を大きく超えており、親子の対話分も量的には園が受け持ち、支える必要があります。また、4歳児(年中)においては、まだ保育者との愛着を一番に必要としている子もこの時期は少なくありません。4、5歳児といえども、一人で10名をみているような環境では対話の積み重ねも愛着形成も疎かになります。幼少期の「環境」として最も子どもの成長に影響を与えるのは設備や教材ではなく「人」です。わたしの園は所有している設備では劣っていますが、飛躍的に成長する子どもたちの姿から最も大切な環境は人だと学ばせてもらいました。

2018年度改訂の保育所保育指針、幼稚園教育要領には、“小学校のアクティブラーニングへの接続としての環境改善「深い学び」「対話的な学び」「主体的な学び」を導く保育”が追加されます。よい実践だと思いますが、今のような人的援助が乏しい環境でどのように子どもが「深い学び」「対話的な学び」「主体的な学び」を導けるのでしょうか?官庁と幼稚園及び保育園との関係は、映画づくりにたとえると、シナリオを書いているライターと演じる役者との間にたつ監督やプロデューサーが誰もいない中で文書だけが現場に通達されている状態です。正しく実行されているかどうかの検証もありません。

今回、都議選に向けた取材でしたので、公約や目標に注目してみました。保育については「幼児教育の無償化」「保育サービスの定員〇万人増加」などが目立ちます。本当にこれでよいのでしょうか。ある政党においては「小中学校35人学級の実現」と書いてありました。一体、どこの発展途上国の話でしょうか?

確かに子どもの貧困を救ったり、防止のための受け皿を増やすことは大切であり、それに使命感をもち、ノウハウもある事業者は役割としてどんどん進めればよいと思います。一方、日本の “低モチベーション教育”と“フォロワーシップ人材の大量生産”は幼少期から大人数で一斉行動を促される環境と密接につながっており、20年後の未来にはこれが貧困につながる可能性を膨らませています。
問題を見えにくくしているのは、これがペーパーテスト信仰と受験システムで成り立っている国内の学校世界で成功するには悪くないからです。しかし、国を率いる政治のリーダーたちがそのような本質からの改善に全く触れず、手をつけやすい無償化と量的拡大で「東京を世界一の都市に」「世界をリードする東京に」等と気軽に叫んでいるのはあまりにも能天気であり、滑稽なものでしかありません。人格形成の観点における日本の幼少期教育政策は、国民ファーストでも、子どもファーストでもなく、「先進国ワースト」です。

わたしがもし今、中高の教員だったら「今回の選挙。投票したい人も、政党もない。行かなくてもいいよね?」と反面教師を演じながら叩かれるディスカッションを開くだろうと想像しています。民主主義について議論し、未来の社会制度について議論し、生徒の中から本質を見抜き、孤独を恐れない真の勇気あるリーダーが近い将来現れることを願いながら・・・。

先入観を捨てる

先日、GWが終わったばかりだと思いましたが、もうすぐ五月も終わりで夏の暑さを感じる日も増えてきました。
人間は経験を重ねると種々の体験から共通項を見つけ出し、それを次にやってくる出来事にもあてはめてスムースな対応をするという効率的な面がありますが、一方で其れゆえにものごとの本質を見忘れたり、見誤ったりするという悪い面もあることと思います。
保育や教育の場でも、過去の成功体験や何となく続いていることを大切にし過ぎると、そのようなことがあるのではないでしょうか。子どもは100人100通り、1000人1000通りの違いがあり、毎年、一人ひとりに違うアイデアを出すぐらいの意識を持っていないと真の成長(発達)支援はできないことと思います。
ベテランの調理の先生が、来月の園だよりへの手記で日常を謙虚にふり返ろうとするエピソードを書いてくれたので転載します。

子どもたちの意外さにびっくり!今時の子どもたちはあまり好きではないと思う食べ物が好きだったり、給食を作っていて驚かされることが度々あります。「いわしの丸ごと梅煮」はみんなが大好きなメニューですが、最初に作った時は今の子どもたちは食べないだろうなと思いながら、お皿に盛り、子どもたちのテーブルへ。そしたら「おいしい」「おかわり」の声が。あの時の驚きは今でも覚えています。つい最近、「ふき」を作ることがあり、これも半信半疑でテーブルへ。そしたら「おいしい」「おかわり」とふきの奪い合いまで(笑)。
食べないだろうと思い、小さく切ってごぼうのきんぴらに混ぜてみました。そしたら、きんぴらの中のふきを探していて本当に驚きました。子どもたちは味つけだけでなく、調理法によって食べるみたいです。
お家でもこれは苦手かなと思う食べ物も工夫次第で食べるようになるかもしれません。無理に食べさせようとせず、またすぐに諦めず、ちょっとした工夫をしてみてチャレンジしていただければと思います。

ビタミン、ミネラルをしっかりとって、暑い夏を乗り切りましょう!

世界のどこでも「自分らしく」力強く

“自立していて有能で、思いやりと責任感があり、生涯を通して学び続ける資質をもつ”という姿を卒園の時までの目標としています。今年度の修了式も、保護者の皆さんのご協力や配慮、職員の尽力から心温まるものとなりました。有能感(人と比べなくても自分は優秀だと思える能力)を身につけた6歳の子たちが次のステージへ飛び立とうとしています。

異年齢で構成されるクラスルームでは、進級する園児たちも、この時期は特に生き生きとしています。年中の子どもたちは「次は自分たちがリーダー」と意気込みながら、年長がなすことを細かく観察しており、先生たちは「まるで理想的な引継ぎ作業みたいですね」と微笑んでいます。

卒園する園児の保護者の皆さんからは、園への感謝の言葉で綴られた色紙も頂きました。子どもからの言葉とご両親からの言葉の両方が全員分綴られており、職員皆で感激しました。先日、研修の講師を務める際に伺った幼稚園では、その理事長さんが「卒園する時に言ってもらえる『ありがとう』の感動は他の仕事では絶対に得られない」とご自身の体験から仰っておりました。私たちにとって何よりの宝物です。


年長の時期にはリーダーとしての資質が出来始めていると実感することが多くあります。自ら一番先に動き、リスクを取りながらリーダーシップを発揮したい子もいれば、友達を立てながらリーダーシップを発揮したい子もいます。極端にいえば、その二種類しかありません。“みんながリーダーを目指さなくてもよい”という言葉がありますが、その言葉の定義と発想がよくありません。リーダーシップとフォロワーシップを単純に二分割して考えることが間違いです。教育関係者がそう思っているならば、致命的であり、それは子どもの才能(人間の可能性)を抑えてしまいます。


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卒園する保護者の皆さんから、園の子どもたちへのプレゼントとして「砂遊び道具」をいただきました。品質や耐久性だけでなく、遊び方の発展性まで皆さんで考えて選んでくれたようです。春本番に向かう中、砂遊びでどんな創造や協働が展開されるか大変楽しみです!



社会見学・交流 『消防署』

先月の警察署に続き、年長と年中の子どもたちが『消防署』を訪れました。多くの子が週始めから見学の予定を楽しみにしていました。消防署では隊員の皆さんが親切に迎えてくれ、まずは、寝室や食堂の見学からスタートしました。夜中もお家に帰らず、火事が発生したらすぐに起きるという隊員の生活を巧みに想像する様子が子どもたちの顔からうかがえました。

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消防車の運転席に座らせてもらうと、みんな嬉しそうな表情をしながら計器類に興味津々で質問を投げかけていました。ホースやはしご、水の量など消防車の設備についての話も真剣に聞き、防護服を手にしたり、呼吸器を背負わせてもらったりすると「こんなに重いの?」と、これでどうやって火事の中を走り回れるのか、驚きの表情をみせていました。

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特に子どもたちが驚きを持って見たのは、「出動訓練」と「救出訓練」でした。火事が発生したという想定で、出動する隊員が一秒も無駄にしないで防護服へ素早く着替える姿やはしごを2階に伸ばして駆け上がり、ダミー人形を救出する姿は本物のような臨場感に溢れ、新鮮な機会で驚きでした。(職員にとっても初めて見る機会でした)

消化器を使っての消火疑似体験は、一人ずつ消化器から水を放出して体験させてもらいました。質疑応答では今回も質問が次々と沢山出て、最後は途中で打ち切りとなりましたが、11名の少人数により質問がある子は最低一、二回は聞くことができました。年長児からは「人を助けるのと、火事を消すのと、どちらを先にするのですか?」という究極の場面での選択を問う質問や「はしご車はどこにあり、どんな時に出動するのですか?」と持っている知識を照合するような高度な質問も出ました。

園に戻ってから、子どもたちの探究心や好奇心を更に発展できるようにするために、大きな紙にみんなで体験したことをお話しながら絵で表現し、意見やアイデアの交換を子ども同士でし合いました。

「すごく、たのしかった~!」という言葉が、多くの子どもたちから聞こえ、なにかを達成したような顔つきが印象的でした。

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