幼児教育とグローバル基準の保育

幼児のファンタジーな世界と無限の可能性。小さな発見やフローの積み重ねからイノベーティブな未来を創る。有能感を持った自立した人間として、生涯を通して学び続ける資質を持って成長できるよう、今しかできない幼少期の土台作りを支援します。

発達理論と幼児心理

「校庭」の教育的価値が分からない小中学校

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積雪のたびにダイナミックな雪遊びを行い、園児たちと自然事象に親しむことがもはや私が何も言わなくても園では定着している一方、毎回、心苦しく感じていることがあります。それは、「校庭での雪遊び禁止」「休み時間は外出禁止」としている小中学校があまりに多いことです。晴天の中、まるで“監禁”されているかのように、窓から指をくわえながら積もった雪を眺めている卒園生たちがいるかと思うと、胸が詰まります。

校庭は何のために、誰のためにあるのでしょうか?体育や部活だけのためにあるのでしょうか?「自然」や「科学」の学びを深めていこうとする意欲には“原体験”が必要です。自分の手足で驚きをもって冷たさに触れることや気温と共に変わる事象に対して心が動かされるような体験が原動力になります。「国語」や「社会」「英語」「音楽」でも雪にまつわるエピソードは出てきます。雪の積もった日に校庭に出ることは“授業”としての価値があります。

また、「やり遂げる力」は親や教師の言葉がけや気遣いだけでは育ちません。それには自然の中で受ける“身体的苦痛”を伴うことを必要とします。昨日も雪だるまづくりに夢中になりすぎて「背中が痛い」「手がキンキン」と言っていた幼児がいましたが、遊びを通じてそういった困難に直面するという点で大量の雪はもってこいの“教材”でもあります。校庭のコンディションを優先する体育や部活の重要性はこれらの経験を積んだ後で配慮されるべきことではないでしょうか。

“(数年に一回の)雪遊びができないぐらいでそんな大袈裟な” という意見もあるかもしれませんが、数年に一回だから重要なのです。たった一回の体験が心の糧になっていたり、感性の源になったりして覚えていることが、誰にでもあるのではないでしょうか。

子どもの成長は身体発達が精神の成長を後押しするように進んでいきます。“雪遊びを学校でしなくても放課後にすればいいだけでしょ”と思っている方もいるかもしれませんが、子どもは日々天候に順応して生きており、知力も体力も最もエネルギーを吸収して成長できるのは放課後ではなく、「日中」です。放課後はサッカーに例えれば“後半30分”のような時間帯です。幼児と小学生、中学生ではその時間帯は少し変わりますが、その区別の定義は変わりません。

子どもは自分たちが、今、成長するために何が必要か、よく分かっています。校庭での雪遊びを禁止している小中学校の校長先生、教育委員会の皆さんには「校庭は誰のために、何のためにあるのか」をぜひご再考いただきたい。以下、子どもたちの心の声をご参考まで。(Firstbook子ども手帳=「やりたいこと手帳」)

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「てんき」にいつもと違う、心のトキメキが表現されています。

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朝からテンションが高く、一番「何をやりたいか」がはっきりしていました。


「Firstbook こども手帳(親子レター帳つき・4月始まり)」
 3歳~9歳が対象
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発表会より大切なもの

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先日、クリスマス・コンサートを開きました。演奏をお願いしていたピアノの講師から開催直前に思いがけない相談がありました。「卒園生のIちゃんに演奏の機会を頂けないでしょうか」と。幼児期には率先して自分から手を挙げるタイプではなく、いつも誰かのあとに友達と一緒にやりたがるタイプの子。一体、子どもが出ないコンサートでソロで演奏するとは、どうしたことでしょう?しかも開催直前に。

当日、その女の子はかなり気を張って来るのかと思うと、まったく逆で、“立ち寄っただけ”のような様子と表情で現れました。そして「楽譜はいらないよ」と言って小走り気味にピアノに向かい、淡々と演奏を始めました。
その後ろ姿は、私には立派になった姿というより、その子が鉄棒や上り棒に黙々と向かい合い、遊び込んでいた時と全く同じに映り、とても驚きました。“(良い意味で)なにも変わっていない”姿。演奏終了後も、あまり達成感に浸るような高揚した感じはなく、もっと先を向いているように感じました。

興味をもった私は後で、その女の子が急に出演を決めた経緯をピアノ講師に尋ねると、これにまた驚きました。実は年末に遊びに来る“おばあちゃん、おじいちゃん”をピアノ演奏で喜ばせようとしたのがきっかけでスイッチが入り、意気込んで練習を始めたとのこと。それがあまりに見事だったので、偶々目前にあったコンサートで弾かないか聞いてみたら、本人が二つ返事でOKしたと。つまり、みんなの前での発表は「次いで」であり「後付け」だったということです。

“おばあちゃん、おじいちゃんを喜ばせたい”と思ったのは、評価してもらうためではなく、純粋にその笑顔で喜んでもらいたかったから、持っている「ラーニングゴール志向」と「没頭力」に火がついたのでしょう。コンサート(発表会)での演奏には“立ち寄っただけ”に映った私の直感は的外れではありませんでした。発表会は料理にたとえると、“メイン”としてではなく、“添えるもの”であった時、最も子どもを伸ばすのではないでしょうか。いずれにしても、幼児期にそれに慣れておくとアドバンテージがあるということはなさそうです。

何かをやりたいと思ったとき、成し遂げられるかどうかは、発表会があるかどうかではなく、「強いラーニングゴール志向」と「豊富なフロー経験」があるかが左右します。そして、すべての土台は愛着であるということ。著書に詳しく書いておりますので、一度読んだ方もまた冬休みにもう一度お目通しいただければ嬉しく思います。


子どもが祖父母さんへ抱く愛着の大きさも改めて実感しました。先日、お会いしたある保育園の40代の先生は「早く、おばあちゃんになりたい」と言っていて驚きましたが・笑、子どもに与える影響力は時に親を越えるものがあり、それを知っていれば歳を重ねることも楽しいかもしれません。


1月1日より先行予約受付「世界基準の子ども手帳(親子レター帳付き)」
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橋井 健司
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「製作」と言ってはいけない理由

保育現場では子どもの活動において「製作」という言葉がよく使われています。工作や粘土、折り紙などに幅広く使えて便利ですが、この言葉を使っていると、そもそも何のためにそれを行っているのかを保育者自身が忘れてしまい、完成だけを価値と見なすようについなってしまいます。幼少期の教育として必要とされているのは自分なりの「表現」であり、重視されるべきは一人ひとりの「過程」です。


園で協働を目的とした造形表現を行いました。年長年中グループは、ヘンゼルとグレーテルのお話をもとに、先生が子どもたちの間に入って一人ひとりからどんな表現をしたいか意見を引き出し、話し合いをしながら、「大きなお菓子のおうち」をつくりました。役割分担も子どもたちとの話し合いで決めました。

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年少グループは一人ひとりの絵画や造形表現を一枚の大きな紙のうえで先生が描いた図を共有しながら共同で表現を行いました。

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すべての表現活動において、重視しているのは出来上がった作品の見栄えではなく、それに向かい合った「一人ひとりの過程」です。職員は、全員のエピソードをメモするので表現活動をする時は大忙しです。活動中も大人(保育者)の応答的な関わりが大切であり、それによって子どもの新たな気づきにつながります。

新保育所保育指針でも示される資質、「学びに向かう力、人間性」を育むには、『過程』を大切にされる継続的習慣が必要です。著書「世界基準の幼稚園」では、“見栄えのよい絵を描かせない”という項目でその理由や実践を詳しく書きました。 “結果オーライ”で進めてよいのは大人になってからの世界です。過程を温かく見守られている子どもたちは、周りの友達の目を気にせず、自分に自信をもって表現します。


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斉藤淳先生と

先月、元イエール大助教授で衆議院議員も経験され、現在は英語と教養教育の塾を経営されている斉藤淳先生と食事をする機会がありました。

以前、「10歳から身につく、問い、考え、表現する力」を読んだとき、斉藤先生も学生時代、勉強ができながら“学校が楽しくなかった”と感じていたことを知り、昔の自分と重なる部分を多く感じていました。私も、自学の勉強は好きでテストの成績もよく、友達も多い方でしたが、とにかく授業がつまらなく、毎日その退屈な時間をどうやり過ごすかばかり考えていました。「英語を勉強して都会にいけば何かが変わるだろう」と思って田舎から東京へ出てきたのも同じでした。

斉藤先生は著書の中で、“英語はスタートライン。英語を使って「何を問い、考え、表現するか」がなければ意味がない。日本語を母語にするものにとっては、何が自らの価値の源か、よく考えてみる必要がある”といい、「ゼロから考える力」の大切さを力説しています。


私が、いわゆる早期教育(その時期にしか伸ばせない能力の成長を妨害する前倒し教育)に反対するのもこれに通じます。幼少期には幼少期にしか得られない「発想・思考・表現」を伸ばすことが青年期・成熟期の飛躍に重要であると考えるからです。斉藤先生も私の著書を読んでくださって「ごっこ遊び」の項が特に印象に残ったと仰っていました。先日は幼少期に思考力を引き出すひとつの要素として、「ゼロからの対話」の必要性についてブログに書きました。

「政策が話題にならない本当の理由」
http://innovative-sprout.com/archives/1068408539.html

今回、斉藤先生といろいろと意見交換をさせてもらい、共にグローバル社会で逞しく生き抜く人間を育てようと、日本の教育の現状を乗り越えようとする点で同じ方向を向いていることを確認し合いました。それを「多数派」にまでしようと目標を立てて行動している姿には“さすが元議員さん!”と心から敬服しております。笑。私ももっとがんばりたいと刺激にもなりました。

最後に先生の本の中で、私が印象に残って線を引いていた部分を記しておきます。

面接を担当したイエールの卒園生によると「イエールはリーダーとなる人物を出したい。指示待ちの子より、新しいことに挑戦する、ある意味『いたずらっ子』を求めている」とのこと。


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世界基準の幼稚園 6歳までにリーダーシップは磨かれる [単行本(ソフトカバー)]


10歳から身につく 問い、考え、表現する力 ぼくがイェール大で学び、教えたいこと (NHK出版新書) [新書]

幼稚園、保育園での保育研修・セミナー

幼稚園、保育園、各種スクール・教室などからの研修依頼をお受けしており、講師として保育の質向上の支援をしております。
経営者、管理者、一般職員など、どの役職の方々にも対応可能です。
ご要望があればホームページからお申込み、お問合せください。特に毎年年度末は混み合いますのでお早めにお申しつけ下さい。

研修テーマ(例):


<保育スキルアップセミナー>
・子どもが20年後、30年後に幸せに生きるために今必要な環境と支援とは?
・世界一低い、日本の子どもの自己肯定感。どうすれば高められる?
・未来志向の保育 ~子どもの主体性を育む保育現場とは~
・「自分でやりなさい」で子どもは自立に向かうか?
・「仲良くしなさい」「みんなしているでしょ」では協調性は育たない
・リーダー(ベテランの先生)が心掛けるべきこと
・保護者との相互理解を高める方法と手順
・専門職としての自覚とマナーの点検


<新・保育所保育指針で新たに何が求められるか?>
・幼児期の終わりまでに育ってほしい「10の姿」へのコミット
・全年齢に共通する「3つの柱(資質・能力)」と「主体的・対話的で深い学び」
・乳児(0歳児)保育に求められること
・1歳~3歳未満児までの保育に求められること
・3歳以上児の保育、4・5歳児保育で求められること


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新教育デザイニング株式会社
http://goodeducation.tokyo/

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「世界基準の幼稚園~6歳までにリーダーシップは磨かれる」
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