幼児教育とグローバル基準の保育

幼児のファンタジーな世界と無限の可能性。小さな発見やフローの積み重ねからイノベーティブな未来を創る。有能感を持った自立した人間として、生涯を通して学び続ける資質を持って成長できるよう、今しかできない幼少期の土台作りを支援します。

発達理論と幼児心理

「外遊びをしない」リスク

今年の暑さは本当に酷なものですね。開園してから12年目ですが、学校などでは屋外のプールまで中止になる等、ここまで危険な暑さを感じたことはありません。水分補給、塩分補給、睡眠時間など、熱中症対策を普段以上に心がけたいと思っています。
 
一方で、私の園の職員たちは、そんな気温の中でも“隙があれば”外遊びを入れようと準備をしています。隙というのは、危険を背負ってという意味ではなく、天気予報に反して気温がそれほど上がらなかったり、風が少し吹いたりして体感気温がやや低いなど、危険を負わない範囲で外に出られる状況になった時のことです。もちろん、朝の早い時間など短時間に限定し、慎重に状況を考えてのことですが。

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猛暑シーズンでも「隙」をみて。これは方針だからそのようにさせているのではありません。むしろ私の方がブレーキ役です。職員が外遊びに出ようとするのは理由があり、集団生活において一日中(8~10時間)室内にいることにも「リスク」があることを何度も経験してきているからです。室内でも運動して汗を流すことはできますが、自然を感じながらの外遊びほどの発散は得られません。発散できなければストレスが溜まり、情緒の不安定や集中力の不足、表現力の乏しさ等にもつながります。
 
ストレスが溜まれば、こども同士のトラブルも起こりやすくなります。直接怪我につながるようなこともあれば、言葉でのいざこざも増え、集団生活においては人間関係にも影響します。時々相談を受ける小学校の学級トラブルなどでも、そもそも身体的なストレスが関係しているのではないかと感じることが多くあります。幼児たちもこれから2学期は運動会の練習、お遊戯会の練習などで外遊びの時間が減りがちです。
 
先日、遊びに来てくれた小一の卒園生は、「学校は座っていることが多くて体が全然疲れないから、夜、眠れない日が多い」と言っていました。私が小さいころは、休み時間や放課後に走り回って遊んでいたので、あまり授業で座りっぱなしでも気になりませんでしたが、今のこどもたちはそのような環境には置かれていないと感じます。聞いたり、書き写したり、座りっぱなしの授業は身体発達の著しい時期の児童たちには苦痛かもしれません。
 
まだまだ暑い日が続きそうで夏本番はこれからだと思いますが、一日一日、子どもたちの集団生活が快適に、健康的に送れるよう、前代未聞の暑さを乗り越えていきたいと思っています!






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本日発売 電子書籍版「世界基準の幼稚園」

著書「世界基準の幼稚園(光文社)」の電子書籍版が、本日7月27日から発売(配信)となりました。海外に住む方で強く興味を持って下さった方は既に日本の友人や親せきから取り寄せて読んでくれたという声も多く聞きましたが、まだそこまでしていない方も多いと思われますので電子書籍化は念願のものでした。


私は、原稿を書き進めている時、特に中国や韓国、香港などの東アジアの方々の役にも立ちたいという動機づけが大きく働いていました。最近は、東南アジアでも“早期教育”が過熱化している傾向にあり、幼児期にしか身につけられない大切な資質や土台が作られていないのではないだろうか、と思うことが多くなりました。これでは英語やプログラミングのような領域で多少先行したとしても、単なる頭のいい子として将来の天井がみえてしまいます。これからはアジア諸国でも人格形成面での課題が後で問題にならないか心配です。

現実として、子どもにやってもらいたいこと、やらせたいことがしかも割と安価で手に入る時代となった中、“外遊び”や“食育”という時間や労力がかかることをやり続けるということは「勇気」がいります。また、周囲が月曜日から金曜日まで習い事でスケジュールが埋まっている中、自分の子には“自由時間”を与えるということも「勇気」がいります。“愛着”の大切さが分かっていても、すぐに成果が見えないから続けるには「勇気」がいります。その勇気を届ける意味でも、海外に住む方、これまで手にしなかった方にこの電子書籍版が少しでも心の支えになれば嬉しく思います。

私は、日本やアジア諸国ではこれから「エリート教育」は、受験競争教育と自由競争教育に二極化するのではないかと思っています。人口規模からして、また国民の成熟レベルからして国全体が欧州各国のように変わることはすぐには起きないと思っています。しかし、国の中でエリート教育が二極化する現象はどんどん進んでいくように感じます。

また最近は、北欧の幼児教育のあり方についても必ずしも長所ばかりではないと感じるものがあり、日本人だから、アジアから発信できることもあると思うようになってきました。著書の翻訳版はまだ決まっていませんが、電子書籍版の発売を機にますますアジア全体を視野に教育というものを考えていきたいと思っています。




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電子書籍化が決まりました「世界基準の幼稚園」

著書「世界基準の幼稚園~6歳までにリーダーシップは磨かれる」の電子書籍化が決定したという連絡を、出版社から受けました。

海外に住む日本の方々から「電子書籍版はないですか?」とよく聞かれたので嬉しく思います。販売開始は7月27日(金)予定のようです。もう少しお待ちください。




教育の原点

この1、2年、年長児たちの姿をみて特に驚くことがあります。小さな園児同士がひとつの遊び道具を取り合いしているのをみると、年長の園児はサッと近寄り、話し合いで解決しそうもないと判断すると、もう一つ同じ遊び道具がないか急いで探し始めます。決して「順番に使わなきゃだめでしょ」と言ったり、「悪いのはどっち?」と裁こうとしたりしません。
また、ひとつしかないものを取り合っている時は、どちらかの子にサッとそれを渡し、もう一人の子にその子が喜びそうな遊び道具を急いで部屋中から探し出して渡します。

小さな子が困っているときも、泣いているときも、その子が“どうしたいのか” “何が欲しいのか”を、年長の子どもたちはじっと観察し、言葉で探ってから対応します。決して、〇〇すべきという正解をもって指導的な導きをしません。“いつでも自分が出発点”という毎回私が説明会や講演で言っている援助のあり方が、既に職員を越えて年長児にまで浸透しているのは驚くべきことでした。年長児たちは、小さな子に対しても私たちがしがちな“チビちゃん”のようには扱わず、一人の人格(人間)として尊敬する態度をもって接していました。

年長児たちは自分が2、3歳の時に職員からそれと同様に援助されたからこそ、記憶になくても自分も自然とそれができるようになっているのですが、しかし、そのレベルが職員たちを越えてしまっています。職員も保護者もその様子には驚いています。この姿から、教育とはやはり教えるというものではなく、学ぶ側が自分で開発し、発展させていくものだと改めて感じます。

昨日は、大学・高校・中学の教職員の皆さんの前で講演をさせて頂き、他の講師の方々や参加された方々との意見交換もさせてもらいました。多くの方々が“どのようにしたら学びの場が有意義になるか” “どんな導きや教え方がよいか”に興味を持たれており、それはよいことだと思うのですが、私からすると、もう少し“子どもが何をしたいのか”に関心をもち、それを引き出すような援助や環境のあり方を考える姿勢も持ってほしいと思いました。

「生徒側に意欲がないんです」「やりたいことがないんです」という意見は、以前から中高大の先生からよく聞きます。しかし、そうであれば、生徒は毎日学校にいく必要はないかもしれません。

私の園の年長児たちは、4月、新入園の小さな子たち一人ひとりのやりたいことを見つけ出すために体も頭もフル回転させ、家に帰るとヘトヘトになって疲れていたと聞きました。もちろん、園がそのような援助を年長児に求めることは一切ありません。すべて、年長児たちが小さな友達を育てることに喜びを感じ、自主的に行っています。

すべての子どもは、自分の学びや興味を発展させる能力を本来もっています。「よい教師」「よい教材」ももちろん大切ですが、その前にやるべきことがあるのではないでしょうか。


「ごっこ遊び」は社会の縮図~大学イノベーション研究所セミナー


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私が、大学イノベーション研究所さんからの講演依頼を引き受け、是非期待に応えたいと思ったのは、実は前回、偶々聴講者として参加した際に"衝撃的なこと"に出くわしたからでした。


グローバル人材を輩出している先進的な高校がしていることが、「床で勉強してもいい」「寝そべって話し合いに参加してもいい」「先生にNOと言って逆提案する生徒たちがいる」と。北欧の学校の話ではありません。強い信念とマネージメント力のある校長先生が運営している日本のある高校の話です。

また、別の私立中学校の教頭先生の講演からは「ごっこ遊びをもっとさせるべき!」という話まで出てきました。まさか、この大学関係者が集まる場で「ごっこ遊び」という言葉が出てくるとは予想もしませんでした。この時、私は4か月後に出版される本の原稿をすべて書き終えており、“「ごっこ遊び」は社会の縮図”という項目も目次の中で決められていましたので、その言葉は特に印象に残りました。

わたしは出版後、自分が言葉を聞き間違えていなかったか、もう一度、この先生、高橋一也先生(工学院大学附属中学校・教頭)に連絡をとってみました。すると、すぐに大変丁寧なご返答をいただきました。

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「ハーバード大学の子ども発達センターの研究によると、実行機能(感情のコントロールをする脳機能)が著しく発達するのが3~5歳までと言われています。実は、子どもたちはこの実行機能を「遊び」を通じて成長させ、お互いを尊敬することや、ルールを守ることを学んでいくのです。最近では、子ども達が自由に遊べる空間も時間も少なくなり、コミュニケーションが取るのが苦手な子ども達が増えています。今話題となっている21世紀型教育の根幹は「対話」です。ぜひ、子ども時代の遊び、特に「ごっこ遊び」の重要性に気づいて欲しいと願っています。」


2年前、このブログに「幼児教育とごっこ遊び」という記事を書いたとき、“こんなこと書いても、多分、幼稚園や保育園の先生ぐらいにしか響かないだろうな”と思っていたのですが、予想は大外れであまり同じ業界からは反響がなく、むしろ社会の第一線で活躍するビジネスやスポーツのリーダーの方たち、特に男性の皆さんから大きな反響をいただきました。


6月16日の大学イノベーション研究所セミナーでは、どのような方針や援助が“光る”創造性や“強い”探究心を育むのか、「自力で壁を突破できる人間」「革新的な提案ができる人間」に育つための幼児教育の実践について紹介し、皆さまの新たな発見につながるよう努めたいと思います。


第4回 大学イノベーション研究所セミナー
【日時】2018年6月16日(土)13:00-17:00
【会場】産業能率大学自由が丘キャンパス2号館
【主催】大学イノベーション研究所(理事長:本間正人先生、所長:山内太地先生)
【テーマ】高大接続教育セミナー「創造性と探究心をどう育むか」
【予定プログラム詳細】
https://www.facebook.com/events/2015065338821186/ 
*参加は大学教職員限定のようです。ご質問があれば主催者に直接お尋ね下さい。


世界で大活躍できる13歳からの学び
髙橋 一也
主婦と生活社
2016-10-28



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橋井健司。保育士・研修指導講師。新教育デザイニング株式会社 代表取締役。社会福祉法人の監事。

著書
「世界基準の幼稚園~6歳までにリーダーシップは磨かれる」
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