幼児教育とグローバル基準の保育

幼児のファンタジーな世界と無限の可能性。小さな発見やフローの積み重ねからイノベーティブな未来を創る。有能感を持った自立した人間として、生涯を通して学び続ける資質を持って成長できるよう、今しかできない幼少期の土台作りを支援します。

食育と伝統文化

表現する楽しさ 日本文化と古典の世界

「クッキングの活動なのに、こどもたちの姿からは“やらせている感”が・・・」「発表会をすると一部の子以外はやる気が・・・」というような話を、幼稚園や保育園で研修講師として伺うとよく聞きます。

“こどもの何を育て、どのような人間になってほしいのか”。わたしたち現場の援助者は、毎日でもこれについて考え、振り返ることをしなければ、“船を安全に先導したのはいいが、別の港についてしまった!”という事態に陥ります。

改訂された3法令(幼稚園、保育園、こども園)の指針では、“幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿”が示されております。これは、勤務する園の方針に関係なく、どの園でも実現を目指すべき指標です。

環境設定(活動)においては、私の園でも試行錯誤を積み重ねてきましたが、先日、「伝統文化に親しむ日」では、偶々これまでにない達成感や発見がありました。
講師が「いたずら鴉(からす)」という三味線童謡をこどもたちに何回か聴かせ、登場する人や物を自分たちで発見させ、役作りも話し合いながら一人ひとりに自由度を与える、ちょっとした劇遊びを行いました。

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そのようにしたら、なんと、年少の園児たちも含めて自ら積極的に参加をし始め、しかも「もう一度」「別の役もしたい」と自分たちからリクエストがあり、結局、7~8回ぐらい繰り返しました。多くの子が『表現する喜び』をつかみ、自信や達成感にあふれた瞬間でもありました。講師もとても驚き、この時偶々他の園からお手伝いに来てくれていた経験豊富な先生も、また同様に驚いておられました。
年少の園児が自ら難しい役をやりたいと言えるのには、年長の園児たちの“献身的なリーダーシップ”があります。“献身的なリーダーシップ”とは、お手本を自慢気にみせるのではなく、サラッっとやってみせて年下の園児たちが真似てみたいといったときには、サポートする側にまわるという姿です。(時々書いていますが、リーダーシップとはグイグイ引っ張っていくだけのものではありません)

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表現する楽しさと喜び。絵画や造形だけでなく、日本の文化でも味わってもらいたいと思います。このような体験を重ねて成長した子どもたちは、きっと将来、異なる国の文化をもつ人たちともそのよさをシェアでき、価値を伝えられるだろうとも思いました。






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給食で「日本式」を貫く困難さ

土曜日に「食育」をテーマとした、給食の試食を兼ねた保護者懇談会を開催しました。

私の園は食育の内容に興味をもって選ばれる方も多く、今では認可保育園から栄養士研修の依頼もくるようになりましたが、ここまで来るには担当職員個人の力量だけでなく、改善と調整の継続やその判断による様々な困難な過程がありました。
 
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年前、採用させてもらった栄養士の職員は偶々、自然食研究家でした。私は元々「医食同源」ということに興味があって何冊か本を読んで勉強したことがあり、また、現代の小中学生や大人における「ストレスへの不耐性」や「心と体の成長のアンバランス」、「感情コントロールの出来なさ」などは食生活とも深い関係があるのではと思っていたため、その職員にそれまで使っていた学校給食(認可保育園)ベースの献立をすべて作り直してくれないかお願いをしました。
 
しかし、献立を自然食ベースに新しくすると、最初のうちは「シンプルすぎる」「肉が少なすぎるのでは」「コクがなくて味がつまらないのでは」「もっと噛み応えがほしい」等、予想していなかった意見が職員から次々と出、そこからの改善と調整が非常に大変でした。これは保育や教育全般にもいえることですが、たとえ保護者の理解や支持があっても、子どもの様子や感覚を代弁するのは職員なのでそこを上手にまとめない限り、本末転倒となってしまいます。また、小さな違和感を放置しておくと、特に女性同士は人間関係にも影響します。
 
幸い、担当の栄養士の職員が柔軟な性格でいろいろな反対意見や提案も受け入れてくれる方だったので、修正に修正を重ねることができ、学校給食とは全然違いながらも自然食やマクロビのような一つの主義にこだわったものとも違う、洋や中の要素も入るオリジナルな献立になりました。同僚の職員や保育の職員の貢献も大きなものです。
 
一方、最も困難な壁は学校給食法の「摂取基準」を守るか、守らないかの判断にありました。著書「世界基準の幼稚園」では、コラム4「本当は難しい、和食中心のメニュー」にて掲載されていますが、和食メニューにするとどんなに量を増やしても、たんぱく質(動物性)とカロリーの数値でこの基準を満たすことができません。
 
いくら認可外で運営しているとはいえ、基準を守らないという決定をすることには覚悟がいりました。しかし、それも栄養士の職員と相談し、また、自然食や玄米食を出している園は必ずしも数値を遵守していないということも本などを通じて知り、摂取基準は参考にはするものの絶対条件としないという判断を最後には自信を持ってすることができました。独りよがりにならないよう情報開示や試食会も継続的に行ってきました。
 
そして、2013年、「和食」はユネスコの無形文化遺産に登録されました。これは、これまでのような寿司や天ぷらが有名になって評価されたものとは全く違い、“Traditional Dietary Culture”として“自然の恵みを敬う精神”“持続可能な自然資源の活用”“世代を越えて人と人をつなぐ価値”など日本の伝統的な習慣や文化的価値が評価されたものです。農水省のホームページでも、海外の人向けには“Washoku, Traditional Dietary Culture”という言葉をもって紹介されています。私の園でも海外生まれや海外在住の子がこれまで様々な国から来て同じ給食を食べていますが概ね喜んでくれています。


こうした世界の評価があるにも関わらず、国内では食糧事情が悪い時代につくられた「摂取基準」によって、子どもたちの学校給食に反映されにくいという現状は不思議なものです。

 

<食育懇談・給食試食会のメニュー>

・三分搗き米
・米粉でつくる夏野菜カレー(バター不使用)

・車麩のフライ(チーズ風味)、

・いわしの骨まで丸ごと梅煮(圧力鍋使用)

・シンプルな野菜サラダ(じゃ芋、人参、アスパラ、コーン)

ドレッシング(酢、油、塩、砂糖)

・一年醸造と六年醸造の合わせ味噌汁(野菜4種+油揚げ)

・自家製ふりかけ(削り節、しょうゆ、ごま、みりん)

・ぎょうざの皮ピザ(赤ピーマン、しらす、玉ねぎ、チーズ)

・味噌クラッカー

 



 










初釜 茶室で季節感を磨く

「伝統文化に触れる」ことを目的にした活動で園児たちを時々茶室へ引率しています。空間的魅力と茶道の先生のお話から季節感や生活観を身体で感じることが目的であり、礼儀や作法は目的化せず、最低限のマナーに留めています。


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ことしも近所の茶道教室での「初釜」を先生の大人の生徒さんたちより先に、当園の園児たちが経験させてもらいました。茶釜は富士山の形、掛け軸にも富士山、飾り物や茶道具には干支である「イヌ」や縁起物の「松竹梅」などが描かれており、ひとつひとつ、先生は子どもたちに分かりやすい言葉で説明してくれました。


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お菓子は先生が「みなさん、花びら餅は体験されてよくご存知なので、フェイントをかけて・・・(笑)」と、小豆の入った干支菓子を用意してくれました。子どもたちの興味が広がり、干支についての話が交わされました。


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抹茶はひとりずつお友達の分を点て、「どうぞ」ともてなし、役割を交互に行いました。大人用を薄めただけの苦みのある味にも「おいしい」という子が多く、全員が飲み干していました。


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棗の模様の「柳」について、先生が興味深いお話をしてくれました。「駅の前の今はパン屋さんのある場所に昔は大きな柳の木があった」と語り、自然が人間の気持ちにどのような影響を与えるかということを経験知から感情をこめてお話してくれました。園に帰る時、その場所を歩き、立ち止まってみました。


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先生の着物からも、いつも子どもたちの「気づき」や「発見」につながるものがあります。打ち出の小槌など縁起物の数々は、お正月の雰囲気を味わうだけでなく、これまでに読んだ絵本のお話やストーリーと結びつけたり、ママやパパとお話したこととつながったり、想像力や探究心を刺激してくれます。



拙著「世界基準の幼稚園」でも、幼少期に「伝統文化」に触れる大切さについて書きました。豊かな季節感をもつことは食育にもつながります。

世界基準の幼稚園 6歳までにリーダーシップは磨かれる
橋井 健司
光文社
2017-10-17
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「Firstbookこども手帳」では毎月の季節の慣習や自然、食べ物について、子どもが積極的に考えたくなるよう、問いかけの形式で紹介しております。
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「手指の発達」 粘土もお絵かきも嫌いな子はどうする?

人格形成における情緒の安定や感情コントロール、集中力の向上には手指の活発な運動を伴うことを著書の中で詳しく紹介しました。


お子さんによっては手指を活発に使う粘土やお絵描きに夢中になれない子がいます。そのようなお子さんでも、手指をつかってのクッキングなら「やりたい!」と夢中になる場合が多くあります。食べ物を自分で作ってみたいという欲求が手指を使う意欲へと変換されるようです。今日は「肉まんづくり」を行いました。材料を用意し、すべてを手づくりで行うと、意外と手指に力を入れないといけない工程が沢山あります。

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市販されている知育教材は1~2歳向けには手指の運動を取り入れたものが多くありますが、幼児でも年齢が高くなるにつれて知的好奇心を引き出そうとするものが増え、手指に力を入れて活発に動かせるようなものはありそうで中々ありません。

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「のばす」「まるめる」「つまむ」「ひねる」など、手指を細かく動かさないといけない工程は、日頃あまり使わない手指の神経を刺激します。


調理をした時の「香り」も感性を刺激します。立派なせいろは栄養士の先生が用意してくれました。火と湯気が子どもたちに見えるよう室内にコンロを置き、その上で肉まんを蒸しました。蓋を開けたとき、「こんなにおおきくなるんだ~!」と子どもたちに豊かな表情と言葉が広がりました。


著書では「食育」は幼児教育の重要な要素として書いています。コミュニケーション能力の形成にも大きな影響を与えていることを書きました。ご購入いただいた方も、時々、思い出してくり返しお読みいただければ幸いです。


世界基準の幼稚園 6歳までにリーダーシップは磨かれる
橋井 健司
光文社
2017-10-17
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幼児園First Classroom 「入園説明会」のお知らせ
http://firstclassroom.jp/free/boshu

新教育デザイニング株式会社 「保育士・教諭研修」のご案内
http://goodeducation.tokyo/free/abc


食育は日本基準


世界的に流行している食のヘルシー志向。私が小さかった頃、伝統的な和食といえば、地味でカロリーが低くて世界では注目されるものではありませんでした。ところが、現代では一変、世界中でその価値が注目され、2013年にはユネスコの「無形文化遺産」にまで登録されました。



おやつに食べてもらった「玄米おにぎり」です。噛みごたえがあって、「いつものお米と違う!」と幼児でもみんながその違いを認識し、味も、焼きおにぎり風で「おいしい!」と好評でした。
今回、私の本の編集者さんですが、偶々、本当に偶然でビックリしましたが、私たちも参考にした「子どもが育つ玄米和食 高取保育園のいのちの食育」を出版に結びつけた方でした。私の本は特に食育から書籍化につながったわけではないのですが。食育は人のつながりでも不思議な縁を呼び寄せると時々感じています!



時々、おかずに出す「いわしの骨まで丸ごと煮」。圧力鍋を使います。これも大人気メニュー。不思議なことに、海外から来た子たちもこれはみんな好きです。味噌汁は一年醸造と六年醸造を混ぜ合わせる、黒っぽい色のものを子どもたちは幼児期に毎日3~4年間飲みます。



植物性たんぱく質、カルシウムや鉄分が豊富な「車麩」もよく使います。炒めたり、フライにしたりも美味しいです。

しかし、皆さんご存知でしょうか?本物の和食を給食に出すのはハードルがとても高いんです。世界中で評価されているにも関わらず、私たち日本人が簡単に出せない・・・詳しくはぜひ著書でお確かめ下さい。10月16日発売です。

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橋井 健司
光文社
2017-10-17


保育士・幼稚園教諭向けの研修は
http://goodeducation.tokyo/


author

橋井健司。保育士・研修指導講師。新教育デザイニング株式会社 代表取締役。社会福祉法人の監事。

著書
「世界基準の幼稚園~6歳までにリーダーシップは磨かれる」
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